【コブスくんの使えそうな仕事術】ミステリー小説翻訳家に聞く、人を惹き付ける文章の秘訣とは?
面白いミステリー小説って読んでいるとグングン引き込まれていきますよね。ストーリーや謎解きの魅力ももちろんですが、やはりそこには人を惹き付ける“文章の魅力”があると思わざるをえません。そこで、映画化も決定した『チャイルド44』 (新潮文庫) を始め、これまで数々のミステリー小説を翻訳してきた翻訳家の田口俊樹さんに、優れた文章の書き方やミステリー小説の魅力についてお話を伺いました。ちなみに田口さんは今年もっとも面白かった海外のミステリー小説を決める「翻訳ミステリー大賞」を創設した方です。
--いい文章ってなんですかね?
「簡単に言えるのは、簡潔で明解であることです。自分が言わんとすることが相手にきちんと伝わる文章が美しいと思います。難解な文章の持つ美しさもありますが、分かりにくいものを伝えるというのであれば、分かりにくさをきちんと伝える明解さが必要です。良くないのは自分の考えていることがハッキリしないままに綴られた不明瞭な文章です。
とはいっても、いきなり全体像や意見をハッキリさせた状態から書き始めるというのは、むしろ稀なことで、書きながら考えをコンクリートする、その過程で何かを発見する、というのが本来のプロセスですが」