【コブスくんのモテ男道!】パソコン疲れ!? 眼科医に聞く目、肩、心身の疲労ケア
「徹夜でパソコンの作業をしていた」、「暗い場所でゲームに夢中になった」、「ベッドで携帯電話を操作していた」など、モニター画面を長時間注視しながら操作を続けることで目が疲れたり、肩こりや疲労感がひどくなったりしたことはありませんか。
これは「VDT(Visual Display Terminal。ビジュアル・ディスプレイ・ターミナル)症候群」と呼ばれています。パソコンを常に操作するビジネスパーソンには気になる症状ではないでしょうか。
そこで、眼科専門医・ふくだ眼科(大阪府豊中市)院長の福田博道(ふくだ・ひろみち)先生に「VDT作業による目の疲労」の原因とその予防、また、自分でできるケアについてレクチャーしていただきました。
■国や自治体、企業もその対策に乗り出す
デスクワークといえば、「長時間イスに座って同じ姿勢でパソコン作業」という、単調な動きを続けることが多いと思います。これが人の健康に害を与える、という報告を受けた厚生労働省は2002年に、「新VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」を発表し、作業時間の目安や作業環境の改善、健康管理についての条項をとりまとめています。
また、2008年には仕事でパソコン作業を行う人を対象に、「VDT作業における身体的な疲労や症状がある労働者および内容別労働者割合」を調査(複数回答)し、「疲れの部位」について質問したところ、「目の疲れ・痛み」と回答した人は90.8%、続いて「首、肩のこり、痛み」という人は74.8%にものぼることが分かっています。
■目の周囲の筋肉疲労と、神経への刺激が原因
これらの症状は何が原因で起こるのでしょうか。福田先生は、こう説明します。
「疲労感を覚える一番の原因は、距離にして50cm前後という近くの何かを長時間見続けていることにあります。パソコン、ゲーム、携帯電話の画面、本を夢中で読んでいるときもそうですね。
眼球のまわりにある筋肉がピントをそこに合わせようとして無意識に力が入ります。それが長い時間になると筋肉が緊張しはじめ、その筋肉が支えている眼球は疲れてきて目が乾くようになります」
確かに、目に疲労を覚えるときには、目の乾きを感じます。
「それが、ドライアイの症状です。近くのものを凝視しているときは、あまりまばたきをしていないのが原因となって、涙の量が少なくなります。
すると、充血する、目のあたりが重くなる、まぶたが重く感じる、目そのものが痛むなどの症状が出ることがあります。眼球は潤っていてこそ健康なんです」(福田先生)
パソコンやゲーム機、携帯電話の場合、モニターが発する光が目を疲労させるといいます。
「ディスプレイそのものが光を発していますから、それを見ている目は、ずっとまぶしいわけです。見ている間じゅう、視神経が刺激を受けていることになりますから、当然、疲れます」と福田先生。
つまり、「近くを見ている」ことと、「発光画面を見ている」ことの両方で、疲れが倍増していることになります。
「『テレビを見るときには、真っ暗な中で見ないように』と注意を受けるでしょう。あれは目にとって刺激が強過ぎるからで、パソコン作業での目への弊害と同じ理屈です。
周囲が暗いと、ディスプレイの光が際立つため、目から視神経を通じて脳の神経を刺激します。
寝る前などにパソコンや携帯の画面を見るのは、睡眠を妨げることにもつながります」と福田先生。
また、
「じっと同じ姿勢を続けていることと、目の疲れの相乗で血行が悪くなりますから、首や肩、腰が痛くなるのも当然の現象です」と疲れが全身に広がっていくと指摘します。
■メガネ、コンタクトレンズの度は合っているか
VDT症候群がひどくなると、身体的な疲労だけではなく、精神的疲労、ストレスも大きくなるとか。
「パソコンで何をしているか、によると思いますが、データ入力など単調な作業ばかりが延々と続くと、集中力にもかかわるでしょうし、ミスをきっかけにストレスも増幅します。その作業がつらくて退職をした患者さんもいらっしゃいます」(福田先生)
一方で、福田先生は、メガネやコンタクトレンズについても注意を促します。
「度数や形が合っていないメガネやコンタクトレンズを装着してディスプレイを見続けると、目に無理な力が入り、さらに疲れます。視力や目の様子は日々変わります。何年も同じままではいられないので、疲労感が大きいと思ったら、メガネやコンタクトレンズが適切かどうかを調べてください」
■自分で目の疲れを和らげる方法
ここで、「パソコン作業による疲労を少しでも軽減するために自分でできることについて、福田先生に具体的に教えていただきました。
●まばたきをする
「とにかく、まばたきをしてください。作業中も意識をして、繰り返してください。まばたきをすると涙腺が刺激されて涙の量が増えます。一番のドライアイ対策です」
●定期的に遠くを見る
「10分に一度は、遠くを見てください。ディスプレイ越しに、遠目に視線を送ります。それで焦点距離が変わるので、目の周囲の筋肉の緊張が緩みます」
●眼球の運動をする
「軽く目をつぶり、眼球を右回り左回り、前後(目を出す、奥に引くイメージ)に動かします。目の周囲の筋肉のストレッチもかねています」
●1時間に10分の休憩をとる
「よく言われることですが、これがなかなか実行できないのではないでしょうか。集中してディスプレイを凝視していると、目にはよくないことばかりです。
意識をして休憩を実行してください」
●目やこめかみ、首、肩のあたりを指圧する
「定期的に、目の両端や、まゆの周囲、こめかみあたりのツボを押します。血流がよくなり、目の潤いも促します」
●首や肩のストレッチをする
「首を前後左右に倒す、けんこう骨から肩をグルグル回すなど、ストレッチをして血流を促します」
●目を温める
「アイパックなどで気持ちがいいと感じるように目を温めるとよいでしょう。これも血流が促されて、疲労感も和らぎます」
これらはパソコン作業をしながらでもできるちょっとした方法ですが、福田先生のご指摘のとおり、「なかなか実行できていない」かもしれません。
最後に福田先生は、
「これらの方法で、目にもリラックスタイムを与えてください。目から入る情報で、脳も常に刺激を受けています。目も脳も、使ったら休める、ということが大事です。あまりに疲労感がひどい場合は、眼科で相談してください。眼科では疲労の原因を整理して、点眼や薬の処方などで、できるだけ早い回復法を指導してくれるはずです」とアドバイスします。
「仕事だから仕方がない」などと、あきらめと惰性でパソコン作業を続けていると、疲労はどんどん積もっていきそうです。せめて、まばたきする、遠くを見る、眼球運動をするなど、作業中にすぐにできることだけでもコマメに実行していきたいものです。
監修:福田博道氏。眼科専門医。ふくだ眼科(大阪府吹田市桃山台。TEL:06-6873-5180http://www.fukuda-ganka.com/)院長。専門分野は眼科一般・白内障・緑内障・糖尿病網膜症。
(阪河朝美/ユンブル)
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