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【コブスくんのモテ男道!】パリジャン&パリジェンヌに聞く。入籍せずに事実婚を選ぶ理由

マイナビニュース

愛の国、フランスといわれるけれど、なぜか結婚(日本で言う入籍)願望があまりないフランス人。その代わり、同棲カップルは日本よりもずっと多く、日本でいう「事実婚」を選択する人々もたくさんいます。

フランス人にとって結婚とはどんなものなのでしょうか?事実婚を貫くオレリア(30歳/販売員)とカミーユ(30歳/システムエンジニア)、クレール(30歳/事務員)とオーバン(30歳/運搬員)、そしてマノン(30歳/銀行員)とアントナン(30歳/教師)のパリジャン&パリジェンヌのカップルに聞きました。


■入籍するメリットを感じないフランス人

町中どこでも人目をはばからずキスをし、愛をささやき合うフランス人ですが、結婚となると、「結婚するメリットが分からない」(オレリア)、「入籍の法的手続きが面倒」(クレール)、「なかなか別れられないので面倒」(カミーユ)など、現実的でクールな意見が飛び交います。

そもそもフランスは、結婚、離婚、そして事実婚ともに日本と形が異なります。日本と一番大きく異なるのが、結婚と事実婚の間の法律的なことや価値観に差があまりないこと。

フランスでは籍をいれなくても、連帯市民協約(PACS)を結ぶという方法があります。これは日本の事実婚のように、籍をいれずに共同生活をしようとする成人二人が結ぶ協約で、税制、社会保障面などで入籍した夫婦と同様の優遇を受けることができます。


そのため、わざわざ入籍しなくても連帯市民協定を結べばいいや……というカップルが増え、オレリアのように「入籍するメリット」が感じられなくなるとのこと。

■役所の掲示板に告知して、異議なしを確認

しかし差がないのであれば、なぜ結婚を選ばないのでしょうか。

まず一つには、クレールが挙げた「法的手続き」の複雑さがあります。連帯市民協約の場合、日本のように結婚も離婚も「届け出」を行えば終わりですが、結婚の場合はそうはいきません。

先月連帯市民協約を結んだばかりのマノン(女性)は、結婚の手続きの複雑さをこう言います。

「結婚するときは事前に書類を何枚も役所に提出し、その後市役所の掲示板に一定期間二人の結婚に異議を唱(とな)えるものがいないか貼(は)り出される期間があります。

さらに結婚当日は市長による意思確認が行われるため、このアポイントメントを取るのにも苦労します。またそのときに新郎新婦ともに『証人』となってくれる人が必要です。
すべての日程調整だけでも大変」と言います。

これを聞いたマノンのパートナー、アントナン(男性)は「結婚はまだこれはいいとしても、とにかく離婚が最悪」と切り出しました。

■離婚には裁判官の審理が必要

「たとえお互いが離婚に同意していても、弁護士を立て、裁判官の審理を受けなくてはならないんですよ」

日本では、お互いが離婚に同意していれば、離婚届を提出して「協議離婚」が成立しますが、フランスでは裁判所を通し、離婚後の権利などもすべて明確に決めなければなりません。

アントナンは自分の親が離婚したときの状況をこう語ります。

「うちの親の場合、離婚が成立するまでに半年ほどの時間がかかったんだ。周りの声を聞いても、特にトラブルのない離婚でさえ平均して4~5カ月はかかっているよ。弁護士を雇うお金だけで1400ユーロ(16万円程)したらしいし」

円満に別れようと思ってもこれだけ時間と費用が必要なのであれば、簡単に「離婚」とはいかないようです。

■別れを念頭に入籍?

クレールは、

「万が一離婚することがあった場合を考えて、入籍前に『結婚前契約書』を交わす人が多くいます。
特に金銭がからむ問題は、仲が良いときに円満に話し合っておくのが一番。離婚の裁判のせいで、二人の良い思い出までがかき消されたら残念だし。

でも、私たちはそこまでして入籍する必要もないのではないか?と思っています。それで私たちは連帯市民協約を結んだんです」と説明します。

続けてオーバンはさらりと、

「連帯市民協約を結んだ場合には、離婚にあたる契約解消の手続きが簡単。『解消したい』と思えば、たとえ相手が同意していなくても一方的に解約できるからね」と言います。

同意なしに別れられることができるなんて恐ろしい気がします。またそんなことを愛する人に言われたら傷ついてしまいそうですが、当のクレールもにこやかに同意し、うなずいています。


でも逆に、この手続きの複雑さが離婚を防ぐ砦(とりで)になるのでは?と聞くと

「とんでもない!好きでもない人と一緒にいるなんて、信じられない。なんのための結婚なの?」と、みなが一斉にあきれ顔。結婚という形にはこだわらないけれど、愛についてはやはり熱いのがフランス人のフランス人たるゆえんのようです。

■フランスは、一対一の「カップル」社会

また、カミーユが言うには、

「フランスはカップル社会。遊びに行くのも仕事上の付き合いも、いつもパートナーを連れていく。だから、例えば仕事上の付き合いのパーティに一人で行ったとすると、とてもばつが悪い。でもそれは必ずしも配偶者である必要はなく、『パートナー』でいいんだ。結婚しているか否かは社会で全く問題にならない」

のだそう。


日本に住んでいたことのあるオレリアは、日本とフランスの家族観の違いを指摘します。

「カミーユの言うように、フランス人は、すべての関係が『一対一』。だから『家族』といっても『夫と妻』、『父親と子供』、『母親と子供』という組み合わせが、一つの家に集まっている、という感じ。

日本は『家族』としての連帯が強いでしょう。だから両親のどちらかが浮気したら、子供は浮気した方を責め、相手と別れさせようとしたり、家族から追い出そうとしたりする傾向が強いと思う。

フランスではその辺はとてもクールで、浮気が原因で両親が別れても、親の新しい恋人と一緒に食事することだって普通なのよ。『父と母』の間に起きたことは、『私と父』や『私と母』の間には関係のないことだからね」

人間関係を個人主義でとらえ、「自分」のロマンチックな恋愛をいつまでも大切にするフランス人。結婚願望が少ないのも、このあたりに原因があるようです。


(蘭景×ユンブル)

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