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【コブスくんの使えそうな仕事術】入院・手術でかかるお金は?

マイナビニュース
「一生涯にかかる医療費は、国民一人当たり2,300万円」と言われます。今まで大きな病気にかかったことのない人には、実感がわかない数字かもしれません。いざ、入院・手術を伴う病気になった場合、どれぐらいの医療費がかかるものなのでしょう。調べてみました。

■医療費はどうやって決めるの?
保険医療機関が行う医療サービス(診察、検査、投薬)の価格は、各医療機関が独自で設定できるものではありません。厚生労働大臣が医療サービスの内容に応じて、診療報酬保険点数というものを告示し、その点数を元に算出されます。

例えば、初診料の基本点数は1回につき270点。1点につきレートは10円なので、初診料は2,700円(270点×10円)と算出されます。
病院や診療所はこの2,700円のうち、医療費用の一部を患者に請求し、残りの額を国民健康保険団体連合会などの審査支払機関に請求して回収します。

ちなみに患者に請求される額は、一般的には医療費の3割。義務教育就学前の場合は2割、70歳以上は1割(※1)と定められています。ただし、長期入院や手術などで、医療費が高額になった場合は、"高額療養費制度"が利用できます。70歳未満で"一般"区分の場合、8万100円+(医療費-26万7,000円)×1%が自己負担限度額の月額です。

仮に医療費が月額100万円の場合、自己負担額は3割の30万円でなく、高額療養費制度が適用されるため、8万100円+(100万-26万7,000円)×1%=8万7,430円に軽減されます。ただし、高額療養費の自己負担限度額は所得や年齢によって異なります。

※170歳~74歳については特例措置

■手術すると医療費はぐんと高くなる!

先ほどは基本的な初診料を紹介しましたが、入院・手術になると、入院・手術料はもとより、麻酔料、注射料、医学管理料、画像診断料などの点数が加算され、医療費は高額になります。
いくつかのケースを紹介します。

<ケース1胃がん(全摘出)で26日入院>

■医療費の総額294万474円/医療費の自己負担額19万9,171円

※自己負担限度額の適用あり。月収53万円以上の高所得者でない場合(高所得者の場合は、33万4,311円)

●医療費内訳
手術料90万7,870円
リハビリテーション料82万8,000円
入院料69万2,980円
注射料14万9,080円
そのほか(初診料2,700円/ 医学管理料5万1,260円/ 投薬料2万7,750円/ 処置料8,200円/ 麻酔料8万7,500円/ 検査料4万2,290円/ 画像診断料6万9,250円/ 病理診断料3万200円/ 入院時食事代4万3,394円)

<ケース2乳がん(部分切除)で25日間入院>

■医療費の総額164万3,320円/医療費の自己負担額11万589円
※自己負担限度額の適用あり。月収53万円以上の高所得者でない場合(高所得者の場合は、17万8,159円)

●医療費内訳
手術料25万7,500円
画像診断料38万8,890円
入院料50万8,720円
注射料14万6,810円
そのほか(初診料2,700円/ 医学管理料9万2,130円/ 投薬料2万3,770円/ 処置料5,950円/ 麻酔料8万7,500円/ 検査料1万1,710円/病理診断料2万1,400円/ 放射線治療料 /5 万2,800 円/ 入院時食事代4万3,440円)

<ケース3虫垂炎で7日間入院>

■医療費の総額45万3,840円/医療費の自己負担額8万5,770円

※自己負担限度額の適用あり。月収53万円以上の高所得者でない場合(高所得者の場合は、13万7,100円)

●医療費内訳
手術料(腹腔(ふくくう)鏡下虫垂切除術)15万4,700円
入院料15万7,640円
そのほか(初診料2,700円/ 医学管理料5万1,330円/ 投薬料1,950円/ 注射料9,940円/ 処置料1,350円/ 麻酔料1万2,000円/ 検査料1万7,010円/ 画像診断料3万5,370円/ 入院時食事代9,850円)

※「医療保障ガイド」(公益財団法人生命保険文化センター)。平成23年8月現在の診療報酬点数による。

これに加え、差額ベッド代(個室や少人数の病室を選んだ場合に支払う差額料金)や先進医療を受けた場合の技術料は、公的医療保険の対象外となるので実費が加算されます。

■海外では、虫垂炎で500万円のケースも!?

日本の医療費はほかの国に比べ安いと思っていた人も、果たしてそうなのだろうかと疑問を感じてしまうかもしれません。

医療費の高さで有名な米国の例をあげると、日本では2,700円とされる一般の初診料はニューヨーク周辺では150ドル~300ドル。専門医を受診すると200ドル~500ドルにも上ると言われています。1ドル=77円で換算すると、約1万2,000円~3万8,500円。

また、急性虫垂炎で入院し手術後腹膜炎を併発したケース(8日入院)では7万ドル、約539万円の請求を受けたとの報告もあります。さらにお隣り中国では、先進国と同様の医療が受けられる外国人向けの医療機関に緊急入院した場合、1日10万~20万円を請求されることもあるようです(「世界の医療事情(外務省)」)

実際、「OECDHEALTHDATA2011」によれば、日本における1人当たりの医療費は、OECD加盟国34か国中21位と、国際水準から比べると決して高いものではありません。

海外事情に比べると割安感のある日本の医療費ではありますが、その額は毎年増え続け2010年には過去最高の36.6兆円にも上っています。高齢化社会を迎え、今後も医療費が増え続けると公的医療保険の保険料率の引き上げや、自己負担割合の見直しも考えられます。

冒頭で述べた「一生涯にかかる医療費は、国民一人当たり2,300万円」という数字がピンと来なかった人も、病気の予防、貯蓄、医療保険の加入など自己防衛を考えておいた方がいいかもしれません。


(文/森眞奈美)

■執筆者 プロフィール
森眞奈美(もりまなみ)
サンダーバード国際経営大学院にて国際経営学修士号取得後、米国系再保険会社に入社。退社後ライター業をしながら、AFPを取得。現在は「保険」、「クレジットカード・電子マネー」、「ライフプランニング」などマネーに関するコラムを雑誌やWebで執筆中。

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