愛あるセレクトをしたいママのみかた

【エンタメCOBS】わずか1万円ちょっとで「少額訴訟」ができるって本当!?

マイナビニュース
お金の貸し借りに関するトラブルは尽きないものです。「取り戻したいお金があるけど、訴訟は費用と労力がかかるからイヤ」という人もいるでしょう。そんな人は「少額訴訟」という手続きがあります。通常の裁判に比べ費用と労力が軽減されるという少額訴訟。これにかかるお金を調べてみました。

■少額訴訟は何が少額なの?
少額訴訟とは、60万円以下の金銭の支払いを求める民事事件に利用できる訴訟手続きです。少額訴訟は簡易裁判所で行われ、原則として1回で審理が終わり、その日のうちに判決が出されます。

■どんな時に利用されるの
では少額訴訟はどんな時に利用されるのでしょうか?少額訴訟は、「お金を貸した⇒証拠書類はある⇒でも返してくれない」など、争点が少なく簡単な内容に適している解決方法です。
たとえ請求金額が60万円以下であっても、内容が複雑な事件については、一日で審理が終了する少額訴訟には向いていないと言われています。

少額訴訟が利用される一般的な事件は以下の通りです。

・貸したお金を返して!など(貸金請求)
・代金を支払って!など(売買代金請求)
・未払いの給料支払って!等(給料支払い請求)
・原状回復のガイドラインにのっとり、敷金を返して!(敷金返還請求)
・車の修理代を支払って!(損害賠償(交通事故による物損)請求)
・そのほか、金銭支払い請求など

■少額訴訟の手続きに必要なもの
少額訴訟が利用できる事件であれば、すぐに訴訟を起こすことができますがその前に準備するものがあります。

・訴状の作成
訴状とは民事訴訟を起こす時に裁判所に提出する書類です。
記載する内容は、「原告・被告の連絡先」、「被告に対する請求内容」、「もめごとの内容と原告の言い分」等。先に述べた一般的な事件については、簡易裁判所に書き込み式の訴状用紙が用意されているので、それを利用すると便利です。
訴状の提出先は管轄裁判所になります。原則として管轄裁判所は相手方の住所のある地区を受け持つ裁判所になりますが、金銭請求の場合は原告の住所地を管轄する簡易裁判所になります。

※くわしくは最寄りの簡易裁判所でお尋ねください

・裁判資料の準備
自分の言い分が正しいかどうかを裏付ける証拠書類(裁判資料)も合わせて準備します。例えば、「契約書」「領収書」「覚書」「借用書」「写真」等。準備した資料が必要十分であるか不安なときは、訴訟を起こす簡易裁判所(管轄裁判所)で相談に乗ってくれます。

・そのほか
被告が会社の場合は商業登記簿謄本等、不動産に関する訴訟の場合は不動産登記簿謄本等、固定資産評価証明書などが求められることがあります。

■少額訴訟手続きにかかるお金
当事者本人だけで少額訴訟を起こす場合にかかる費用は、「手数料」と「郵便切手代」です。「手数料」は裁判を行うためにかかる費用で請求金額によって異なります。手数料分の収入印紙を訴状にはって納めます。また、「郵便切手代」は裁判所から書類を送付するときに必要な郵送料です。
それぞれの裁判所で定められている額面の切手と枚数を納めます。

<手数料一覧表>
請求金額(万円)訴えの提起(円)
~ 101,000
~ 202,000
~ 303,000
~ 404,000
~ 505,000
~ 606,000
※裁判所HPより

<郵便切手代>
各裁判所によって若干異なりますが5,000円前後です。

例えば請求金額が60万円であれば、手数料が6,000円、切手代が約5,000円、合計1万1,000円前後で少額訴訟を起こすことができます。

これは専門家に依頼しない場合の金額です。しかし、一体どれぐらいの人が当事者本人だけで少額訴訟を起こしているのでしょうか?
ちなみに平成22年度「少額訴訟既済事件数」(司法統計)によると、少額訴訟件数15,824のうち、弁護士または司法書士を付けず当事者本人が行った件数は14 ,122。事件によって異なりますが、これによると全体の約9割は専門家に依頼せずに少額訴訟を起こしています。

■少額訴訟を専門家に依頼した場合に発生する費用
ただ、手続きが簡略化されている少額訴訟と言っても、訴状を書いたり、証拠書類を集めたり、裁判所に出廷する必要があります。そんな時間が取れない人は弁護士、司法書士などに仕事を依頼することになります。
フィーについてはケースによって異なりますが、専門家に依頼した場合、

・書類の作り方を教えてもらう⇒30分5,250円~
・書類の作成および、裁判に出廷してもらう⇒着手金5万円~20万円と成功報酬(経済的利益の約15%~20%)

専門家に書類の作成、裁判への出廷を依頼し60万円の請求金額を取り戻した場合のフィーは、14万円以上。同じ条件の依頼で10万円の請求金額を取り戻した場合のフィーは6万5千円以上。専門家に依頼するときは、依頼内容とフィーとのバランスを検討してみましょう。

※上記はあくまでも目安とお考えください。専門家へのフィーについては直接お問い合わせください。

■少額訴訟で注意すべき点
先に述べた通り、専門家に依頼しない場合は最高でも1万円数千円で訴訟を起こすことができる少額訴訟。だからと言って頻繁に訴訟が起こせるというものでもありません。少額訴訟手続きの利用回数は1人につき、同じ裁判所に年間10回までという制限があります。


また、訴えられた被告が「少額訴訟」でなく、通常の訴訟手続きで審理するように求めてきた場合、原告が少額訴訟を望んでいても通常の民事訴訟手続きに移行します。この場合裁判が長引くことがある上、必要に応じて専門家へのフィーがかさんでしまうことが考えられます。

取材協力:司法書士猪狩佳亮/司法書士いがり事務所代表(川崎市川崎区)
(http://www.ss-igari.com/)
主な取扱い業務は、裁判、債務整理、遺言・相続など。

(文/森眞奈美)

■執筆者 プロフィール
森眞奈美(もりまなみ)
サンダーバード国際経営大学院にて国際経営学修士号取得後、米国系再保険会社に入社。退社後ライター業をしながら、AFPを取得。現在は「保険」、「クレジットカード・電子マネー」、「ライフプランニング」などマネーに関するコラムを雑誌やWebで執筆中。

提供元の記事

提供:

マイナビニュース

この記事のキーワード