【エンタメCOBS】破産するにもお金がいるんだってば!
まず相談にくる方の傾向をお聞きしました。
篠田先生によると
「債務整理に関する相談自体は減少傾向にありますが、その中で自己破産案件の割合は増加傾向です」とのこと。
借金に苦しんで「債務整理したい」という場合には、3つの方法があるそうです。
1.月々の返済額さえ減らせばなんとか払っていけるだろう→ そのための処理(任意整理)
2.大幅に減額すれば払っていけるだろう。または、住宅など、どうしても手放したくない高価な財産があるけどそれを手放さないで借金のほうをなんとかしたい→ そのための処理(個人民事再生)
3.もう払えない→ そのための処理(自己破産)
しかし、自己破産をしたいということで相談に来られた方であっても、法的に許された利率以上に利息をとっている業者から借金をしていたため、「自分が思っている借金の額」と「法的に許された利率で計算をしなおした借金の額」が異なる人がほとんどであるようです。
なので「業者が借金の残額は500万円だと言っていたけど、法的に許された利率でちゃんと計算しなおしたら実際の借金の残額は30万円でした」という話もあるそうです。
また、ちゃんと計算しなおしたら払いすぎていた利息のせいで残額はとっくにゼロになっており、自己破産するどころか、反対に、業者から払いすぎたお金を取り戻せるような場合だってあります。
いわゆる過払い金というヤツです。これを返せ、いや返さないとかそういうのをやると、訴訟になる場合もあって、大変だそうです。
篠田先生によると、「家計が苦しくて借金が支払えなくてどうしようかと思って事務所に来られたものの、いろいろ計算して、過払い金などを請求したらそのぶん余裕ができた。なので、やっぱり自己破産するのはやめて支払っていきます、と債務整理の方針を変更される方も結構いらっしゃいます」とのこと。やはり事情は千差万別です。
ちなみにアディーレ法律事務所で、1カ月にどのくらいの債務整理の案件が相談されるのか聞いてみたところ、
「6,000件です」というお返事です。
1カ月に6,000件ですよ!
今回は「全部払えません!」という、3の処理、自己破産に絞って聞いてきました。
債務を全部処理するためには、「この人は破産です」という事実を裁判所に認めてもらわないといけません。そのための処理を弁護士さんにお願いするわけですが、そのために弁護士さんに支払う金額はというと……、
通常は、
・相談料
・申立費用
・着手金
・成功報酬
の4つがあるそうです。
これに後ほど説明する、管財事件になった場合、裁判所に支払う管財費用・管財人引継手数料が必要とのこと。
以下、金額はアディーレに相談した場合の金額です。
まず、相談料については、1時間で1万円という目安の金額が弁護士さんにはあるそうですが、アディーレでは「無料」。
大体皆さん、事務所に来て大体1時間半~2時間の相談をする人が多いそうです。
次に、申立費用は、印紙代とか郵便代とか交通費、日当、通信費などにかかる必要経費で、一律3万円。
成功報酬は、事案が終わって、例えば過払い金の回収が終わったりした際などに、そのうち何パーセントかを弁護士が報酬として受け取る場合のお金です。アディーレの場合、自己破産を成功させたことに対する成功報酬については、0円。
自己破産する場合には、相談料(無料) + 着手金 + 申立費用(一律3万円)+ 成功報酬(なし)なので、着手金と一律3万円の申立費用が必要ということです。
では、総額は、全部でいくらになるのでしょうか?
1つは、同時廃止の場合、着手金は28万3,500円[税込]なので、申立費用と合計で31万3,500円。
もう1つは、管財事件の場合、着手金は39万9,000円[税込] なので、申立費用と合計で42万9,000円に管財費用、管財人引継手数料が20万1,000円を合わせて、 合計63万円。
「同時廃止」というのは、自己破産をされる方に高価な財産がない場合であって、かつ借金がなくなることについても問題がない場合に、破産手続開始決定と同時に破産手続を終了するという簡単な手続です。
「管財事件」というのは、自己破産をされる方に高価な財産がある場合やギャンブルによる浪費などの免責を不相当とする事由がある場合等がこれに当たります。お金もかかるし面倒なので、誰もが「同時廃止」にしてほしいところですが、まず、これを判断するのは相談しに行った弁護士。
例えば、筆者が「自己破産したいんですが……」とアディーレに駆けこんだ場合、アディーレで筆者の言い分を聞いて、調べたのち、「同時廃止」か「管財事件」を判定、裁判所にどちらか用の書類を提出するわけです。
ただ、同時廃止で裁判所に書類を出しても、最終的にどちらの手続きにするのか決めるのは裁判所なので、裁判所の方で「うん? これは管財事件なんじゃないの?」という判断がされて、管財事件になってしまう場合もあるそうです。もちろん弁護士さんもそういうことがないよう書類を整えて裁判所を説得するんだそうですが、絶対大丈夫とは言えないようで……。安いから同時廃止にしてほしいですねえ。
ちなみに、管財事件の場合、この20万1,000円は必要で、ないと破産手続を進めてもらえないんだそうです。「ないったらない! どうしてもない!」という場合には、渋々分割にしてもらえる場合もあるそうですが……。
「破産するときでも最低20万1,000円の現金がいる!」ということです。(管財費用・管財人引継手数料に関しては東京地方裁判所に申立の場合)
では手続きにかかる時間はどのくらいでしょうか。
最初の相談に1時間半~2時間。各借金元から必要書類を取り寄せるのに2週間~1カ月。
弁護士が必要書類を作成提出するのに1~2カ月。裁判所が手続を終えるのに2~3カ月だそうで、手続きによりますが、早くても計3~4カ月ぐらいになるようです。場合によっては、途中で「ほかに高価な財産があった!」、「相続が発生した!」などといった事情の変更や「必要書類がそろわない」といった事情により、半年程度時間がかかる場合もあります。
自己破産したらどういうヒドイ目に遭うのか?を伺ってみたのですが……これがあまりヒドイ目に遭わないみたいなのです。
まず「自己破産したのはこの人!」ということが官報に掲載されてしまいますが、普通の人はまず見ません。
また信用情報機関のいわゆるブラックリストに掲載されちゃうので、カードが作れないとか、ローンが組めないとか、そういう不利益はありますが、それも5年とか6年、あるいは7年という時間が経過するとリストデータが更新されて大丈夫になるようです。
また、自己破産をしたことがあるかどうかは、破産手続中の数カ月間の間に本籍地が発行する身分証明書を取り寄せるとか、わざわざ古い官報を検索するなどをしない限りわかりません。管財事件の場合には、手続期間中の数カ月間、郵便物がすべて管財人経由で手元に届くなど、財産隠しをさせないという目的からですが、その程度です。
同時廃止の場合には、管財人が選任されることもないのでそんなことも起こらないそうです。個人の銀行口座も普通に使えるようで、自分で「破産した!」とでも言いださない限りは周りには分かりません。
篠田先生によりますと、
「みなさん破産という言葉のイメージだけで恐れておられることが多いかもしれませんが、ブラックリストに載ってしまうこと等以外で特に破産してなにかヒドイことになるかというと、それはないと考えていいと思います」とのこと。
最後に篠田先生から
「当事務所は男女間のトラブルや離婚問題なども扱っておりますので、なにかありましたらお気軽に相談にいらしてください」とのお言葉。
お願いする状況にはなりたくないですが、万が一、そうなってしまったら、お願いします(笑)。
(谷門太@dcp)
【コラム】お話を聞いた「アディーレ法律事務所」