【エンタメCOBS】裁判の傍聴に行ってきたよ
傍聴に行ったことのない人に「傍聴ノウハウ」をお伝えします。
小学校の社会科で学ぶように、裁判所には、地方裁判所、高等裁判所、最高裁判所があります。第1審は地方裁判所、第2審は高等裁判所、第3審は最高裁判所、都合3回まで裁判を行える、これを三審制と呼ぶと習いましたね。
筆者が今回出掛けたのは千代田区霞が関にある、東京の高等裁判所です。行ってから気がついたのですが、地方裁判所と高等裁判所は同じ建物内でした。
東京高等裁判所は東京メトロ・霞が関駅A1出口を出たらスグのでっかい建物です。正面入り口に向かうと警備の警察官2名が門番よろしく、やって来る人ににらみをきかせています。
入り口をくぐると手荷物検査が。空港みたいにX線装置で中身をチェックされます。凶器を持ち込ませないようにするとのことです。ちょっとビックリですね。
それを通過すると正面受付です。
何も知らないので受付の人に「傍聴したいんですが」と聞くと、「開廷表を見て傍聴したいのを選びなさい」と言われました。
「開廷表」というのは、その日の何番の法廷で何時にどんな裁判をやるかを書いた一覧表のことです。例えば「410番法廷、11:00~11:10、覚せい剤不法所持事件、被告○○○○」なんて書いてあります。
初めて見ましたが、被告人の名前も(当たり前ですが)そのまま書いてあって生々しいものです。ちなみにこの「開廷表」には「民事」と「刑事」の2種類があります。
「民事」は民事事件の開廷一覧、「刑事」は刑事事件の開廷一覧です。民事になると、不動産絡みとか、知的財産絡みなどの事件の裁判です。刑事になると、覚せい剤とか暴行とかドラマで見るような事件の裁判です。
刑事事件の傍聴に行ってみました。「覚せい剤事件」です。行って驚くのは、法廷の数が非常に多いこと。
まるでマンションの部屋のように、たくさんの法廷が各フロアにあります。それぞれの法廷にある「傍聴人入り口」と書いてあるドアから入ります。証人用待合室、検察官入り口などもあって、「へーこうなってるんだ」って感じです。
「11:00~11:10」と開廷表に記載されていましたが、「本当に10分で終わるのか」とかなり疑問に思って傍聴席につきました。弁護士さんが向かって右、検察官が向かって左、真ん中にひな壇があります。ここに裁判長が座るわけですね。弁護士さんと検察官はすでに着席していました。警察官に付き添われた被告人が入廷して弁護士の隣に座りますが、手錠がしっかりかかっていました。
目の前で見るリアルさにドキドキします。
ところが裁判長が来ません。
書記の人が内線電話をかけています。「そろいましたので」。内線電話があるのにもビックリしました。3分遅れで裁判長入廷。この時、「起立!」と声がかかるので法廷内の全員は起立しなければなりません。マナーだそうです。
始まりました。見ているうちにあらましが判明です。1審の結果に不満な被告が控訴を行った、と。で、その控訴の理由というのが、弁護士によれば「被告は十分反省しているし、覚せい剤を止める決意は固い」。なので1審よりも「軽い量刑にしてほしい」ということです。
しかし、この被告人はどうも何度も覚せい剤使用で捕まっているようなのです。またそのせいで1審の判決が「2年8カ月の懲役」。止める止めるとその都度言ってるのに止めないで捕まった結果なのです。
この控訴は難しいのでは?と素人考えですが、思いました。
今回の決意の固さの理由を被告が説明します。
「娘が結婚して子供ができる。孫に対して顔向けができない。だから止める決意は固いんだ」と。
検察官はなんだか不満顔です。言うだけだったら誰でもできるって感じでしょうか。
「1審の裁判の時にボランティアでジョイ・トレーニングの人がやってきて、クスリを止めるのに手を貸してくれると言ってます。
それにも参加するつもりです」と被告人が言います。
ん?ジョイ・トレーニングってなんだ?
裁判長も筆者と同様に思ったらしく、しきりに資料をめくっています。
「あ、ジョブ・トレーニングね」と裁判長。
裁判長ちょっと苦笑です。
「審理はこれで終わります」と裁判長。
「えっ?これで終わり?」と筆者は内心驚きましたが、控訴内容が「決意の固さ表明」なのでこんなものなのでしょうか……。
「では○月△日の午前10時40分から判決を言い渡します」と裁判長が言って、総員起立。おしまいです。3分遅れで始まりましたがきっちり10分間で終わりました!しかも続きあり。この人がどうなるのか非常に気になりますがここで終了。開廷途中でも傍聴席には入れますし、途中退出しても構いません。ただし、法廷内での録音器具の使用、また撮影は禁止です。警察官を呼ばれて拘束されることもあるようです。
生まれて初めて裁判の傍聴に行きましたが、ライブ感があるというか、生々しいというか。人生の一場面を目撃するので、裁判の傍聴を趣味にしている人がいるのもうなずけます。筆者も結末が気になるのでまた傍聴に出掛ける決意をしてしまいました。
誰でも見に行ける裁判の傍聴に行ってみませんか?
(谷門太@dcp)