【コブスくんのモテ男道!】元アスキー編集長に聞く。キーボードの値段と性能は比例する?
そこで、パソコン活用情報誌『アスキー・ドットPC』元編集長で、大正大学表現学部教授の大島一夫先生に詳しいお話を伺いました。
■価格と性能が連動するものではない
――値段が高くなるほど、キーボードの性能はよくなるのでしょうか。
大島先生確かに、高いものだと3万円以上するタイプもあります。ですが、キーボードの場合は、パソコンのように値段が高いからといって機能、性能がよくなるということではありません。
高価なキーボードは、スイッチに高価な部品を使っている、また、信頼性の高い操作が求められるサーバー用や防じん防滴仕様など、ハードとして厳しい要求をされている部分での価格差です。
性能として求めたいのは、自分の手になじむキーサイズとタッチ、配列で気持ちよく文字入力ができることです。
自分に合うキーボードといかに出合えるかにつきるでしょう。
――選び方を教えてください。
大島先生大型家電店では触れられるように展示されているので、試しにキーを打ってみてください。文字は表示されなくても、何か文章を打ってみて、いつもの調子で打てるのかどうかを確かめましょう。
打ち間違いが多い場合は、いつものキーボードとキー配置やキーの大きさ(間隔)が違っている、また、なぜか気分よく打てない場合は、キーストロークの問題があるのかもしれません。
キーは、打ったときに少し沈んでから反発して上がってきますが、この沈み具合と反発の具合がキーストロークの感触になります。これは個人の感覚、し好によりますが、違和感があるときには、自分に合っていないと思っていいでしょう。
――「特価500円」といった激安キーボードを見かけます。
使えるのでしょうか。
大島先生そうした激安品はパソコンの付属品として大量生産され、パソコンの販売中止によって余って流通した「バルク品」と呼ばれるものです。
これも少し文章を打ってみて、不具合を感じなければよいと思います。ただし、商品管理が雑なケースもあり、品質保証されていないことが前提なので注意してください。
――キーボードのトレンドはありますか。
大島先生使い勝手のいい無線接続に注目です。Bluetooth(ブルートゥース)接続と専用の無線アダプターを使う2つの方式があります。
キーボードとマウスがセットになった無線接続タイプや、1つのアダプターで5種類まで接続できる無線接続タイプも登場しています。
■複数の端末、携帯電話やスマホにも接続できるタイプがお勧め
――お勧めのキーボードを教えてください。
大島先生職場で使うなら、キータッチ音が静かなパンタグラフ式で、かつ数字入力や計算などを頻繁に行う場合は、テンキーが付いたフルキーボードをお勧めします。
「Bluetooth(R) ワイヤレスフルキーボード- TK-FBP014シリーズ」エレコム標準価格5,670円
これはBluetooth接続で多くのパソコンに接続でき、またBluetooth内蔵の携帯電話やスマートフォンでも使えます。一度Bluetooth接続の設定をすると、キー操作で9台まで切り替えが可能です。
「Happy Hacking Keyboard Professional JP 白(日本語配列)」PFU標準価格24,990円
私が自宅で使っているのは同シリーズの旧タイプです。現時点では少し高価ですが、このシリーズのウリはなんと言っても、キーピッチ19ミリという、打ちやすい大きさのキー。しかも、A4半分程度という小さいサイズです。
キーの感触がはっきりしていて、バンバン打っていると仕事もはかどった気分になります。
「pomeraDM100」キングジム標準価格36,000円
文章入力重視のユーザーには、これ。カバンに入れて持ち運べ、キーボードというよりワープロといった方がいいぐらいの、まさにライティングマシン。面白いのは、Bluetooth接続ができるので、パソコンやスマートフォンのキーボードとしても使えるところ。日本語変換ソフト・ATOKが内蔵され、その点でも文章作成に専念できます。
――ありがとうございました。
値段で決めるのではなく、いかに自分に合うキーボードを選び取るかがポイントだということでした。激安品のカラクリも分かり、安心してさまざまな機種を試してから購入できそうです。
※価格は2012年5月現在
監修:大島一夫氏。
『週刊SPA!』(扶桑社)、『週刊アスキー』(アスキー・メディアワークス以下同)の創刊を経て、『アスキー・ドットPC』編集長、『月刊アスキー』編集長を歴任。現職は大正大学表現学部教授。『タッチ1秒検索術』(アスキー新書800円)、『すぐわかる40歳からのiPad』(アスキー・メディアワークス 1,449円)を監修。「おおやまかん」の名前で、『アスキー・ドットPC』誌上で『毎日使えて仕事に役立つタッチ1秒検索術』を連載中。
(岩田なつき/ユンブル)