【雑学キング!】独身でもマイホームは取得しておいた方がいいの?
■不動産業界全体は回復傾向
──不動産業界全体の動きは今、どうでしょうか?
「地域や月によって変動はあるものの、マンションは新築・中古ともに成約数はアップしています。これは、東日本大震災でマンションの安全性が見直されたことが大きいと思います。価格は、新築の場合は東京都下と埼玉・千葉で微増、そのほかは横ばい。中古は底打ち感があります。
新築戸建ては、平成22年度より供給数はおおむねアップ。
しかし価格は下がり続けています。中古戸建ても、流通件数はじわじわ上昇、価格は横ばいといった状況です。
また、近ごろはマンションも戸建ても、中古を購入して自分好みにリフォームなさる方が多いです。最初は新築を探していても、環境・セキュリティーなどの優先順位から中古を選択なさるんです。
総合的に見て、まだまだ買い手有利な状況ですよ」(高橋さん)
──戸建てよりマンションの方が人気のようですね。
「先述の通り、震災の影響を受け、防災・セキュリティー対策がしっかりとられたマンションを選ぶ人が増えたようです。湾岸エリアのタワーマンションも、かなり需要が回復しています。
お子さんが巣立ち、戸建てほどのスペースを必要としなくなった熟年層の方々が、コンパクトな間取りのマンションに移られるケースも増えました。
また、DINKS向けのマンションも人気です。少子高齢化の影響も大きいのでしょう」
■それなりの資金と見通しがあれば買い時!
──独身の方がマイホームを持つということについて、どのようにお考えですか?
「それぞれの経済状況や就業形態などによって一概には言えませんが、新婚カップルに対して行ったアンケートによると、半数以上のカップルが『住宅の購入を予定している』と答えています。遅かれ早かれマイホームを持とうとするなら、独身のうちからリサーチしておくことは無駄ではないでしょう。
それなりに資金の準備があり、将来の見通しが立っているなら、固定金利が軒並みダウンしており、2年後には消費税がアップするかもしれない今、独身の方も買い時だと言って良いと思います」
──ワンルームマンションなどはどうですか?
「投資を兼ねて購入する方は今も少なくありません。節税になりますし、生命保険代わりにもなりますからね。
ただ、家やマンションは、ご存じの通り築年数を経るにつれて価値が下がっていくもの。完済した時点で不動産価値がゼロに等しくなってしまうケースもありますので、投資や売却を前提とする場合は注意が必要です」
■マイホーム選びで気をつけたいこと
──独身の方がマイホームを選ぶ上で必要なポイントを教えてください。
「結婚後も家族で住める家を探すなら、周辺環境のほか助成や子育て支援サービスなどの行政サービスについても調べておきましょう。
市区町村により、助成金・補助金に違いがあります。
また、東日本大震災のあと、津波や土砂災害などが起こる可能性を気にされている方も多いと思いますので、ハザードマップ(各種自然災害による被害を想定し、その被害範囲をマップ化したもの)などでチェックしておくといいですね。
シングルユースの物件を探すなら、女性の方は特にセキュリティー面に注目してください」
──物件価格が妥当かどうかを知るためには?
「先ほど、買い手有利な状況が続いていると申しましたが、個別物件単位で見ると一概には言えません。例えば、同じマンションでも階数や方角によって価格は変わりますし、土地なら同じ地域でも形状や日当たりなどによって価格は大きく変わりますよね。
そこで、まずは情報収集し、十分に検討してください。
例えば『不動産ジャパン』では、相場動向や行政サービス、不動産取引の際に知っていると便利な知識など、さまざまな情報を掲載しています。こうしたインターネットを利用すれば、無料で手軽に情報収集できます。
そして、取引相手と誠実な交渉を重ねてください。
ご自身が納得できる取引であれば、それが『妥当な価格』になると思います」
昨今、マイホームを持つのも、賃貸住宅に住み続けるのも、総支出額は変わらないといった説もありますが、要は自分の城を持つことへのこだわりではないでしょうか。
シングルでも「自分の家」を持ちたい方、ぜひ参考になさってください。
公益財団法人・不動産流通近代化センター
不動産流通センター研究所・研究理事・高橋さん
不動産ジャパンhttp://www.fudousan.or.jp/
(OFFICE-SANGA 百田カンナ)