【コブスくんのモテ男道!】歯科医に聞く。この治療はいい方法?
歯学博士で歯科・口腔衛生外科の江上歯科(大阪市北区)院長・江上一郎先生に検証をお願いしました。
・歯のブラッシング指導を頻繁に行う
筆者が複数の歯の治療に通っていたとき、2カ月に一度ぐらいの割合で歯のブラッシングの指導を受けていました。少し回数が多いのでは?これはよい治療ですか?
江上先生とてもよい治療です。まず、歯のブラッシング指導は、歯科衛生士が一人ついて20分程度行いますが、歯科医院からすれば診療点数があまり高くなく、つまり収益面でのメリットはないのです。それを何度もされるというのは、誠意的だと感じます。
回数が多いのは、「歯がうまく磨けていない患者さんだから」と判断されたのでしょう。
歯磨きはむし歯対策や歯周病予防の基本で、とても重要です。
われわれ歯科医や歯科衛生士は、歯を診ればすぐに、「きちんと磨けているか」が分かります。よって、治療のたびにその歯科医は歯磨きの具合をチェックされていて、指導が必要と思われたのではないでしょうか。
・レントゲン写真を撮って、説明するのは?
筆者の経験では、レントゲン写真を撮影してから、説明する医師としない医師がいるように思います。どちらがどう、いい治療でしょうか。
江上先生説明をする歯科医です。レントゲン写真は、歯の治療方針を決めるうえで、また進める過程で、歯の状態の客観的事実を見る重要な資料となります。例えば、むし歯が歯髄(しずい。神経が通っている歯の中心部)まで達しているのか、根元にうみがないか、また、痛みを訴えておられるけれど歯も神経も、歯ぐきも根もどこも悪くない患者さんもいらっしゃいます。
この場合は、耳鼻科疾患や歯科心身症の疑いがありますが、それらのことがレントゲン写真で読み取れるわけです。
写真を撮って治療方針を説明し、質問を受け、了承を得るインフォームド・コンセントはとても大事です。このあり方次第で、その後の患者さんの心理的負担も変わってきます。
一方、写真は撮ったけれど、自己判断でさっと治療に入られた場合、患者さんは何をされるのか分からず、治療中に痛んだりすると原因不明でつらい思いをすることになるでしょう。レントゲン撮影の費用は、パノラマサイズ(歯ぐきの右端から左端まで)が3割負担で1,210円です。デンタルサイズ(3センチ×4センチ)では150円になります。パノラマサイズはそう頻繁に撮りませんが、デンタルサイズは、痛む歯だけを撮影するなど、状況に応じて活用します。
・抜歯を勧めるのはいい方法?
歯がぐらぐらしてとても痛むと歯科医に訴えると、「この歯は抜いたほうが楽になる」と説明されました。
抜歯はよくないと聞くので、自分の歯はそれほど悪いのかとがく然としました。
江上先生歯科医は抜歯を勧めてはいけません。高齢になっても自分の歯を残そうという時代です。抜歯を促されることについて想定できるのは、次の2点です。
一つ目は、抜歯をせずにおくと、それ以上の悪影響が出ると判断した。
二つ目は、インプラントを勧めたいがために抜歯を促した、ということです。インプラントは骨があるほど施術しやすく、土台が完全にダメになっていない、ややしっかりしている歯のほうが施術しやすいのです。しかしながら、高額なインプラントのために早期に抜歯するのは本末転倒です。
江上先生は、次のアドバイスを加えます。
「もしも治療法に疑問を感じたら、率直にその場で医師に質問をしましょう。それが難しいようでしたら、セカンドオピニオンを求めるという方法があります。別の医師の意見を聞くことで、自分で治療法を選びましょう」
多岐にわたる歯の治療法。江上先生は、「歯科医の質は、技術力+誠意で決まる」と言います。確かに医師の誠意が伝わって来たとき、痛みが緩和されるような気がします……。
監修:江上一郎氏。歯学博士。
専門は口腔(こうくう)衛生。歯科・歯科口腔外科の江上歯科院長。
江上歯科大阪市北区中津3-6-6阪急中津駅から徒歩1分、御堂筋線中津駅から徒歩4分TEL:06-6371-8902http://www.egami.ne.jp/
(藤井空/ユンブル)