【転職コブス君】オーナーに聞く、「カフェ、はじめました」を実現する方法
■必要なお金と場所探し
──自由が丘というと、トレンドの発信地ですよね。開店資金もかなり必要だったのでは?
「当店の場合は、約1,500万円。内訳は、入居のための敷金・礼金が300万円(家賃の10カ月分)、造作費(カウンターや棚などをしつらえる費用)が700万円、什器費(テーブルやイスなどの購入費)が200万円、そして当面の運転資金として300万円……といった具合でした。敷金・礼金は自由が丘ならではの額かもしれませんが、それ以外は一般的な額だと思いますよ」(曽田さん)
──この場所で出店を決めた理由を教えてください。
「それは、僕の第六感(笑)。自分のイメージに合う物件をひたすら探しました。物件との出合いは人と同じ『縁』。
1カ月で見つかる場合もあれば、何年もかかる場合もあります。
場所は、人通りが多ければ多いほどいい。でも、人通りの多さと家賃は比例するので、そこはバランスを見ます。あと、店内の広さと必要な従業員数も比例するので、広ければ良いというわけでもない。
ちなみに当店の場合、約15坪で家賃が30万円、従業員はキッチン・ドリンク・ホール担当が各1名。これでトントンって感じですね」
──月の売り上げ目標は、どのように立てていますか?
「僕は、1席あたりの1日の売り上げ目標(ちなみに同店の場合は6,000円)×全席数の8割×営業日数で計算しています。
とはいえ、夏は食欲の落ちる時期だし、12月は忘年会でみんな居酒屋に流れるので、ほぼ赤字。逆に春や秋は気候が良く、テラスでも過ごせるので、黒字になることが多い。
1年間全体で黒字になればいいので、月単位ではわりとドンブリ勘定です(笑)」
■おしゃれなカフェであり続けるために
──トレンドを把握するためには、どんな工夫をしていますか?
「まず、売上伝票でお客さんが注文したメニューを見て、いま何が人気なのかを把握します。また、いろんなカフェを巡って流行を探ったり、トレンドリーダーたちの動向をチェックしたり。そうして情報を収集しながら自分なりの答えを出すんです」
──「自分なりの答え」とは?
「『これ、いいな』と思ったことでも、自分の店のテイストに合わなければダメなので、自分の店でどう応用できるか?を考えるということ。その店ならではの空間やメニューに、ひとりでも多くの人に納得してもらうことが、その店のファンを増やすことにつながりますから」
──ちなみに今、どんな料理が人気ですか?
「最近は野菜料理ですね。それも、ゆでただけとか焼いただけの、素材の味が生きた料理。主食系も、凝ったものよりタコライスやフレンチトーストなど、シンプルな料理の方が人気です」
■カフェオーナーに必要なもの
──カフェオーナーは、どんな人が向いていると思いますか?
「カフェを開く人には、それを生業にする人と、趣味の範囲で始める人の2パターンいますが、いずれにせよ食にこだわりがあることが大前提。
あと、お客さんとのコミュニケーションはもちろん、関係者のネットワークやスタッフ間のチームワークなども大事なので、人とのかかわりを大切にできる人。
そして、ダメなことはダメ、できないことはできないときちんと言える人です」
──必要なスキルなどはありますか?
「スキル面は、ある程度従業員たちにカバーしてもらえますが、店のこだわりはオーナーがしっかり持たなければなりません。
僕はコーヒーの味、特にロースターにこだわりました。いろんなカフェでいろんなコーヒーを飲み、『うまいな』と思ったら店員にどこのロースターを使っているのかを聞き、そうしてたどり着いたロースターを現在使っています。
そして、料理の味は自分の舌で、店内の衛生状態は自分の目でしっかり確認します。
手間と努力を惜しまず、確固たる自分のスタイルと熱い愛情を持って育てていけば、そのカフェを応援してくれる人は必ず増えていくはずですよ」
隠れ家的な雰囲気が人気の「SODA cafe」。曽田さんの鋭い審美眼によって選ばれた昭和風ながらもイマドキな調度品の数々や、クスクスを使った料理やテリーヌなどの本格派料理は、今日も多くの人の心とおなかを満たしています。
カフェを開いてみたい方は、参考にしてみては?
取材協力:SODA cafe
東京都目黒区自由が丘2-14-9 B1
(OFFICE-SANGA 百田カンナ)