漫画を描くためのソフトがあるのをご存じでしょうか。『ComicStudio』(コミックスタジオ)です。これは世界的にもソフト業界的にも大変珍しい存在です。まず、「漫画」という日本独自の表現形式、メディアを制作するためのソフトであること。第2に、純日本産のソフトであることです。パソコン用のソフトを見渡してみればすぐにわかりますが、アドビやマイクロソフトなどの海外ソフトハウスが制作したものが多く、純国産のものはほとんどありません。このComicStudioを開発、販売している株式会社セルシス 取締役の成島啓さんにお話を伺いました。
■始まりはアニメ制作ソフト!
――そもそも、漫画制作用のソフトを作ろうと思い立ったのはなぜだったんでしょうか。
成島さんそのためには、まず弊社の成り立ちを説明しないといけないですね(笑)。弊社はもともと、CGプログラマーだった2人が設立した会社です。CGと言っても、今みたいにソフトがあって、すぐレンダリングできてというようなものではない時代です。光の計算や形状をプログラムで書いて、という20年以上前の話です。自分たちがCGを制作するクリエイターだったので、何かクリエイターの役に立つソフトを世に出す仕事をしたい、と考えたんです。