【エンタメCOBS】もしも科学シリーズ(28):もしも不老不死の薬があったら
全身が異常細胞に埋め尽くされ、ガン人間として永遠の余生を過ごすハメになるのだ。ありがとうp53遺伝子。今夜も安心して眠れそうだ。
■日々これ勉強
新たな細胞を生み出さない細胞もある。代表的なのは神経細胞で、子供のころは活発に分裂して成長するが、成人になるとほとんど活動せず老化への一途をたどるのだ。脳の場合は死滅による細胞の減少や、リポフスチンという色素が付着し、萎縮(いしゅく)し機能が低下する。
もし脳細胞が新陳代謝するとどうなるのか?古い細胞が新たな細胞に置き換われば、いつまでも高性能を発揮できるのだろうが、同時に記憶も失われ、すべてを忘れていくことになる。記憶は、ニューロンと呼ばれる神経細胞同士がからみ合い、生み出されるネットワークによって保存されているので、新たな細胞に置き換わってしまうとネットワークも組み直さなければならないからだ。
対策は、自分が誰だか忘れないうちに自伝を作り、毎日それを覚え直す以外ない。それでも記憶は日々薄れ、数年たてばオリジナルの記憶や経験は完全になくなる。すべての脳細胞が新旧入れ替われば、自伝に書かれた記録以外に自分を知る手だてはない。
自伝を読んで記憶を取り戻すのは、他人のプライバシーをのぞき見るような気分だろう。