現代に通じるようなグルメブーム、食通ごっこ、そのルーツをたぐっていくと江戸時代にまでさかのぼります。江戸時代中期には、多くの料理本が刊行されましたが、その最大のヒットが『百珍本』です。
■大ベストセラーになった百珍本
1782年(天明2)に大阪で出版された『豆腐百珍』がまず大ブームになります。豆腐百珍はさまざまな豆腐料理を紹介した本。食い倒れの街、大阪は江戸時代から「食に関する興味」の大きな「天下の台所」だったのです。
この本が江戸にも紹介され、そのムーブメントは百万都市・江戸も巻き込みます。続編の『豆腐百珍続編』がすぐに刊行され、これも大ヒット。『大根百珍』『鯛百珍』『甘藷百珍』『玉子百珍』などの類書も次々と刊行されました。
これらの百珍本は今で言う「メニューブック」になるでしょうか。ただし、中には「本当に作ったの?」と疑問を持ってしまうようなメニューもあります。それらはアイデアだけで洒落で入れたのだろうと言われています。
■百珍料理ってどんなの!?
「これはタイトルだけだなあ」という物はよけて、美味しそうな百珍メニューをご紹介しましょう。
●「利休好み」ってブランドなの!?
百珍メニューの中には、利休好み、利休○○といったタイトルが散見されます。