【エンタメCOBS】消せるボールペンって海外でどれくらい売れているの?
さて、このフリクションボールですが、日本だけでなく海外でもヒットしている商品なのです。
そこで今回は、発売元である株式会社パイロットコーポレーションの営業企画グループ・田中万理さんと筆記具企画グループ・二宮清夏さんに、海外での展開やフリクションボールの種類などのお話を伺いました。
■発売は日本より海外から先だった
――消せるボールペン『フリクションボール』の海外での展開について教えてください。
田中さん フリクションボールの海外展開は実は日本より先なんです。日本では2007年の3月に発売されたのですが、海外ではそれより約1年早い2006年の1月に、フランスを中心としたヨーロッパ各国で発売をスタートしました。
――日本よりも海外での発売が先だったんですね!? 先にフランスなどで発売をスタートした理由はどんなことでしょうか?
田中さん ヨーロッパは小さい子供さんでもインクのペンで字を書く習慣があります。
シャープペンシルはほとんど使わないんですね。ですので、「インクで書いた文字が消せる」ことのニーズが異様に高かったんです。
――インクで字を書くことが当たり前の国だからこそ、インクの文字が消せることを必要としていたんですね。
田中さん そうですね。
――ヨーロッパではどれくらいの国で販売されているんですか?
田中さん フランスやドイツ、イタリアなど40ヵ国で販売しています。
――発売当初の注目度といいますか、売れ行きというものはどうでしたか?
田中さん 非常に話題になりましたし、いきなり大ヒットでした。発売当初はバリエーションが1種類しかなかったこともあり、常に品薄の状態でしたね。
――ヨーロッパと比べてアメリカでのニーズはどうなのでしょうか?
田中さん 実はアメリカのニーズはそこまで高くないんです。
アメリカでは小さい子供はエンピツを使うことが多く、大人はボールペンを使いますが、メモ程度なら修正液でキレイに消したりはしないんです。――習慣の違いが如実にニーズの差に出ているのですね。ちなみに海外では、これまでどれくらいの本数のフリクションボールが売れているのでしょうか?
田中さん 海外だけの数字は出ていないのですが、日本と海外を合わせると、2006年1月の発売開始から2011年12月までの累計で4億4,600万本となっています。その内、フランスだけの売り上げは公開できまして、フランスでは約6,000万本となっています。
――世界全体で4億本以上も売れているんですか……超が付くほどの大ヒット商品ですね!
■さまざまなバリエーションがあるフリクションボール
――ボールペン以外にも、いろいろと「消せる」シリーズの商品があるそうですが、現在どれくらいのシリーズ数を展開しているのでしょうか?
二宮さん フリクションボールは現在10種類のシリーズがあります。まずはキャップ式のフリクションボール。こちらのタイプが最初に発売されたものです。芯のタイプが0.5ミリと0.7ミリがあります。
次にノック式のフリクションボールです。こちらも0.5ミリと0.7ミリがあります。
――芯の種類もいろいろとあるんですね。
田中さん 海外と日本でも芯の細さでニーズが変わりますから。日本ではより細いタイプが好まれる傾向にありますし。
二宮さん 芯が0.4ミリの『フリクションポイント04』という商品もあります。これは色のバリエーションも15色あります。
――黒だけでなく、赤やピンクなどもあるんですね。
これは女子高生とかに人気がありそうです。
二宮さん 実際に中高生など、若い女性を中心に人気の商品ですね。ほかにも全部で24色のバリエーションのある『フリクションいろえんぴつ』や、24色の消せるカラーペンの『フリクションカラーズ』、また消せる蛍光ペンの『フリクションライト』などのラインナップがありますよ。
――色のバリエーションが多いので子供にあげても喜んでもらえそうですね。
田中さん そうですね。あとは最初に発売したキャップ式のフリクションボールがカジュアルなデザインだったので「ビジネスシーンでも使えるものを」という要望がやはりありました。それを受けて『フリクションボールビズ』という、ビジネスシーンにふさわしい落ち着いた見た目の商品の発売も行っております。
――そんなにいろいろな種類があるんですか。
日本でも大ヒットしていますし、このまま広く普及していけば「ボールペンの文字が消せる」ことが当たり前になりそうですね。
二宮さん 「書く物」の未来がどうなるかはわかりませんが、1つの柱にはなると思っています。
田中さん そうですね。1つのカテゴリーとして世間のみなさんに認知してもらえるようになればうれしいですね。ただ「消えないボールペン」の存在も重要だと私たちは考えています。消せるボールペンが広まることも大事ですけど、お互いがうまく住み分けできるようになればいいと思いますね。
日本より海外での展開が先だったフリクションボール。インクで字を書く文化が浸透しているだけに、受け入れやすかったようです。
日本では幅広いバリエーション展開もヒットの要因だとか。「消せる蛍光ペン」とか日本人は好きそうですもんね(笑)。みなさんはフリクションボール、使っていますか?
(貫井康徳@dcp)
(パイロットコーポレーション フリクションボールHP)
http://www.pilot.co.jp/frixion/info/index.html#/home/