【雑学キング!】もし今日死んだらどんなことで困るのか?
■葬儀社の見学に行って見積もりをもらっておくと安心
――自分が突然、死んでしまったら、家族はどんなことで困りますか?
「家族にご不幸があったとき、遺族がまず直面するのは葬儀の問題です。よくわからない間に流れにのって葬儀を出してしまうと、多くのケースで後悔することになります。
『もっとああしてあげればよかった』、『予算を大幅にオーバーしてしまった』など、そうならないためにも生前に葬儀社を決め、自分らしい葬儀の準備をしておくといいですよ。
そうすることで遺族に後悔をさせなくてすむようになります」
――葬儀社では見学会も催されているので、何社か見て回って見積もりをもらうのも手。葬儀社にも個性はありますか?
「最近は小規模の家族葬も人気が高いのですが、アットホームな小規模葬儀を得意とする葬儀社、大規模の葬儀を得意とする葬儀社があります。
また、故人の個性を尊重してカスタマイズする、個性的な自由葬が得意な会社もあります」
自分の感覚にあう葬儀社選びが、葬儀成功の秘訣(ひけつ)なんですね。
■お金のかけ方に個性があらわれる
――ところで、個性的な葬儀とはどのようなものですか?
「例えば菊以外にも、ご自身のお好きな花で飾ることができます。赤いバラやピンクのスイートピーの祭壇などもあって、すごくすてきですよ。
また、お酒好きの男性の祭壇に名酒の瓶が並べられていたことも。祭壇は安いものを選ぶ一方、会葬者にふるまう食事にお金をかけることもあります」
食事にお金をかけたお家の人たちは、もしかすると故人が生前、大勢で宴会をワイワイとやるのが好きだったから、そうしたのかも。
葬儀のどこにお金をかけるかも、故人の人柄を表しています。
――葬儀ってお金がかかりますよね。お金はどのくらい残さないとダメなんでしょうか?
「ピンキリですが、家族葬ならば50万~80万円、小規模の一般葬では100万~120万円、いろいろ葬儀の内容に選択肢を広げるならば150万~170万円くらいですね。
火葬だけを行いたいという場合は、20万~25万円程度です。これらにお布施がプラスされる一方、参列者からの香典分の戻りもあるので、そのへんも計算を」
■思い出や家族へのメッセージはエンディングノートに
――葬儀社の選択以外に準備することはありますか?
「案外困るのが遺品の整理。趣味で集めていた書籍、マンガ、フィギュア、ファッション小物……。これらを処分するのはちょっと気がひけるもの。また、その道のマニアじゃないと、価値のあるものの判断も難しいですよね。
そこで、これは売ってほしい、これは捨ててOKなどのリストを作っておくのもいいかと思います」
――遺品整理指示のメモがあれば、捨てることが苦手な片付け下手の遺族も安心ですね。遺(のこ)していく家族へのメッセージを伝える方法についても教えてください。
「書店では専用のエンディングノートも販売されているので、いろいろ書き残すといいですね。
パソコンや携帯の電子情報の取り扱いについて(アドレス帳のパスワード、各種会員登録停止に必要なID、パスワード、要廃棄のデータに関する取り扱いなど)といった実用的なことから、家族へのメッセージ、趣味の話、自分の今までの人生などを書きとめておくことができます」
死への準備はけっして悲しいことではないのかもしれません。それは大切な人たちへの愛情であり、自分自身の人生の一部ですから。
市川愛
葬儀相談員市川愛事務所リリーフ代表/社終活普及協会理事
葬儀業界初の葬儀エイジェント(葬儀社紹介)企業に入社し、紹介業務を行っていた中、「葬儀業界にもプロのサポート役が必要なはず」という思いから2004年に独立。日本初の葬儀相談員として4,000件以上の消費者からの相談、質問に対応、お葬式の事前準備サポート、各地での講演、執筆、葬儀関連業者へのコンサルティングを行っている。「お葬式で知っておきたい58のこと」(PHP研究所)、「『終活』のすすめ自分で出来る人生のしめくくり」(太陽出版)、「孤独死の作法」(ベスト新書)など著書も多数。
リリーフホームページhttp://www.re-lief.com
(OFFICE-SANGA 平野智美)