すべての服がすこしずつ大きいこの世界を、1日でも多く好きでいたい
体が小さく、身長も低くて、私にはむかしからすべての服がすこしずつ大きい。あとからちょうどよくなるはずだから、と母に3年間言い聞かされていた制服のブレザーは最後まで全然ちょうどよくならなかったし、いまでもフリーサイズの洋服の試着をするときは決まって、ちょっとぶかぶかめに着るのがかわいいデザインなので、とフォローされる。
これまで私にそう声をかけてくれた無数の店員さんたちの言葉が本当ならば、この世のほとんどの服はちょっとぶかぶかめに着るのがかわいいデザインということになる。
あ、なんか、どうやらそうじゃないっぽいな?と気づいたのと、人からの視線が怖くなりはじめたのは同じ頃だった。
■「こんな似合わない服を着ているのを見られたら笑われる」
きっかけがなんだったかははっきりと覚えていない。6年生のとき、サエちゃんとユキちゃんとマリちゃんという3人といつも一緒にいて、サエちゃんとユキちゃんは背が高くほっそりとしていたから、比べるとシホとマリは脚が短いよね、という冗談を同級生に言われたことがあったような気がするし、いま思い返すとそれを言ったのはサエちゃん自身だったような気もする。
いや、サエちゃんに言われたのは「シホって音読のときすぐ顔赤くなってウケる」