疲れた心と共に、本の世界へ飛び込む。【TheBookNook #4】
という気持ちが生まれ、主人公が再び一歩を踏み出すまでの心情が描かれています。
彼女の抱えていた漠然とした生きる不安、気持ちの変化、新たな出会い、旅立つ勇気、寂しさ、それらの全てが静かに自分と重なり、私の心に寄り添う大切な一冊となりました。
読後は、視界がクリアになり、脱皮した様な感覚になれる一冊です。主人公が日常から離れて得た癒しや心の変化は、私が本を通して感じるそれと少し似ているかも知れません。
2.西加奈子『きりこについて』
「きりこは、ぶすである」という衝撃の一文から始まるこの物語。“ぶす”であることから普通の社会生活を送れずに引きこもっていた主人公が、成長していくにつれて見つけていった哲学が、一見ありきたりな意見のようで、巧みなエピソードによって描かれていて、私たち読者の前に圧倒的な説得力を持って提示されます。読後も日常のふとした瞬間で、その中にある鮮やかなシーンを思い出してしまうような物語であり、いつまでも読者、とりわけ女性を支えてくれる存在でもあります。
自分を愛せなくなったとき、
容姿に自信が持てないとき、
他人の言葉に深く傷ついたとき。
この小説は、あなただけを見つめ「あなたはあなただ」