忙しない日々に、心を満たしてくれる日本の児童文学を。【TheBookNook #5】
文:八木 奈々
写真:後藤 祐樹
皆さんは「児童文学」と聞いて、何を思い浮かべますか?
大人気映画『ハリー・ポッター』や『ロード・オブ・ザ・リング』『ナルニア物語』など、大人になっても意外と触れる機会の多い“児童文学”。
昔、読んだ名作も、大人になった今だからこそ違う捉え方ができ、子供のころには理解できなかった物語の“奥深さ”や“作者のメッセージ”にも気がつけるかもしれません。
写真はイメージです。
今回は、私たちの凝り固まった心をじんわりと解してくれる暖かみのある作風の「児童文学」を日本の作家さんに絞って紹介させていただきます。
どの作品もスラスラ読めるものばかりなので、できるだけ中断せずに読み切るのがおすすめです。展開に甘えて漠然と読み進めるのではなくて、あの頃に戻って騙されたように真っ直ぐに児童文学の世界に入り込んでみてください。
1.宮沢賢治『銀河鉄道の夜』
宮沢賢治の死の直前まで変化し発展し続けたと謳われる未完の名作。彼の思想の集大成とされていますが、同時に多くの謎を含んでおりその評価はさまざまです。
表題作のほかに「よだかの星」「ひかりの素足」「貝の火」なども収められています。