ご褒美チョコと一緒に味わう恋の物語【TheBookNook #17】
本作は、幸せになろうと真摯にもがく恋愛小説であり、ひとりの人間としての私たち読者に向けられた成長小説でもあります。わかり得ないことをわからないなりに知ろうと努力すること、あと一歩進めば叶うかもしれない夢があること、 “聞く”と “聴く”の違い、タイトルに隠された意味 ……。
登場人物に自分の人生をなぞらえ、自分をえぐりながら、自分の核心を見つけ出せる……こんな本はなかなかありません。“私”という人間のなかに、この物語にある一つひとつ、一文字一文字を、余すことなく置いておきたいと強く願いたくなる一冊でした。
■最高のバレンタインをお過ごしください
決して人に自慢できるような恋ではなくても、お互いに心から想い合い、いろいろなかたちで“愛”が成立するからこそ、大人の恋愛は面白いのです。
現実世界での恋なんてご無沙汰の人も、恋を諦めている人も、チョコレートが好きな人も嫌いな人も、物語を通して自分じゃない誰かになって新しい“恋”を始めてみてください。皆さんの読書時間がチョコレートよりも味わい深いものになりますように。
最高に贅沢なバレンタインを。
■「TheBookNook」について
この連載は、書評でもあり、“作者”とその周辺についてお話をする隔週の連載となります。