原作と映像は別腹。2024年3月に映像化される作品3選【TheBookNook #18】
こんなにも苦しくて優しい物語は他にありません。本屋大賞受賞作、納得です。
2.雨穴『変な家』(3月15日 公開予定)
本作品は比較的新しく、SNSなどでも話題になったため、タイトルに聞き覚えのある方も多いのではないでしょうか。正直、私も行く書店行く書店で一等地に平積みされているのを見て、その熱に押されるように文庫本を購入しました。
物語はオカルト専門のフリーライターをしている筆者が知人から購入を迷っている一軒家の不可解な間取りについて相談を受けることから始まります。インタビューをベースとした対話形式で話は進められていき、ある程度間取りの理解さえできてしまえばかなり読みやすい文体となっています。
ゾッとする……とまではいかないけれど、本当のことがずっと分からない気持ち悪さが心のなかの白い部分に少しずつ“黒”を落としていきます。ミステリー/ホラー作品として読むには個人的には物足りなさを感じましたが、重たすぎず、怖すぎず、かといって軽快すぎず。
間取りの図ひとつから読み取られるものを楽しむ謎解き/仕掛け小説と解釈すると一気に面白く感じました。騙されているのは登場人物なのか、私たち読者なのか、そのどちらもなのか。