雨の日に酔いたい【TheBookNook #24】
いろいろな本を読んでから出会うと、より、本作から溢れ出すおとぎ話のようなピュアな言葉達に心が浄化されてゆくのを感じます。純愛小説なんて興味ない! という人にこそおすすめです。
というか、絶対に読んだ方がいい。
語り手目線で物語が進んでいくのですが、終盤に明かされた真実のおかげで、妻はどれほど嬉しく満ち足りた時間を過ごしていたのだろうかと、この作品を冒頭から包み込んでいた大きな愛にハッとさせられ、不覚にも涙が頬を伝いました。
“亡くなった人が帰ってくる”というありきたりな展開に収まらず、一度読み終えた後でも、別の結末、別の幸せを求めて、何度でも読み始めてしまいます。手のぬくもり、会話のリフレイン。いま、会いにゆきます。
2.道尾秀介『龍神の雨』
梅雨の季節を彩った雨の一冊。
物語の最初から最後まで、土砂降りが続く小説が他にあっただろうか。読んでいるあいだはずっと心が締め付けられるような気持ちが続きます。それぞれの継母、継父と暮らす2組の兄弟が、万引き犯と被害店舗の従業員という形で繋がっていく本作品。
人間誰しもが抱いたことがあるであろう、“あのときアレがなければ……”“あのときこうしていれば……”という後悔めいたものを主軸に、“道尾色(みちおしょく)