本選びのすゝめ【幻冬舎編】【TheBookNook #25】
眩しすぎるくらいに、すがすがしいほど大人の恋たち。読後は今までよりも少しだけ素直に、丁寧に、周りの人や自分の気持ちと向き合おうと思える一冊でした。そう、「可愛くなりたいって思うのは、ひとりぼっちじゃないってこと。」
3.小川糸『なんちゃってホットサンド』
今年の2月に発売された小川糸さんの最新エッセイ。コロナ禍の一年間のことが日記帳で綴られて
いくのですがもうこれはエッセイというより、小川糸さんそのもの。
いい意味で、特別感心するような発見や刺激のない他人の人生を丸窓から覗いているような感覚に浸れます。執筆活動が忙しいに違いないのに、味噌や石鹼、アイスクリームに梅干しなど、なんでも手作りしてしまうバイタリティーをみて感心すると同時に、『ツバキ文具店』のぽっぽちゃんのあの暮らしの丁寧さは、小川糸さんの実生活がベースになっていたんだ……と驚いたのもつかの間。ライオンのおやつは『エンドオブライフ』を先に読んでいたら書けなかったのかもしれないこと、ベルリンの話が無くなったり、ペンギンさんが出てこなかったり。
とにかく小川糸さんの作品を読んでいればいるほど分かるアレコレと、“小川糸”という人間そのものがこの作品にはたくさん詰まっています。