イヤミスだけじゃない。沼作家・湊かなえ。【TheBookNook #26】
もうお気づきの方もいるかもしれませんが、ザックの水に毒は入っていませんし、登山靴に仕掛けもありません。もちろん登山中に殺人も起こりません。……そう、この作品に“ミステリー要素はありません”。
でも、これは紛れもなく湊かなえ作品。女性の心理描写の生々しさはさすがとしか言いようがないですし、鬱屈としたものを抱えて周りに不快なエネルギーを撒き散らす人間と、そんな人間から見た絶妙にイラつくフィルターを通した世界を描くのが最高に上手すぎます。イヤミス系の作品は苦手だけれど、湊かなえの作品に興味のある方は、ぜひ読んでいただきたい。読後、ダナーの登山靴を調べたのは私だけじゃないはず。
■“湊かなえワールド”へ足を踏み入れてみませんか?
この他にも、魅力的な作品はたくさんあります。
一度、湊かなえワールドにハマってしまったら抜け出せないといっても過言ではありません。
また、作者と物語にギャップがあるのも個人的に好きな点なので、サイン会などに足を運んでみるのもおすすめです!! みなさんの読書が捗りますように。
■「TheBookNook」について
この連載は、書評でもあり、“作者”とその周辺についてお話をする隔週の連載となります。