心のデトックスの形は人それぞれ。【TheBookNook #31】
でも、考えてもみてください。目が見えず耳も聞こえない人を遠隔で安全地帯に誘導するなんて“無理”ですよね。危険地帯となった地下から、それもたった一台のドローンで救い出すなんて“無理”ですよね……。
そんな誰もが諦めてしまいそうなほど難関な救出。中盤で生じた疑惑が晴れた瞬間があまりにも鮮やかで、鳥肌が立ちました。そうなるに至った覚悟と恐怖と不安を自分のことのように想像して胸に熱いものがこみ上げてきます。
みなさんならどう誘導しますか……? ラストに見えた絶景はこの先もずっと忘れることなく私たち読者の胸に残ることでしょう。規格外の感動を味わえました。
出会えてよかった一冊。
桜庭一樹『砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない』
“こんな人生、ほんとじゃないんだ”。
図書館の返却棚でふと目に留まった、“ラノベ三大奇書”のひとつでもある本作品。盛大なネタバレともいえる1ページ目から物語は始まっていきます。
変わった性格の転校生とのかかわりを通して、主人公が少しずつ成長していく物語……といえば聞こえがいいでしょうか。青春の、特に塩辛く淋しい部分を凝縮したような味がしました。
ただ気をつけてください……。