映画『ザ・サークル』に考える、未来のSNS社会の光と影- 古川ケイの「映画は、微笑む。」#28
ベイリーは、「シーチェンジ」で美しい形式や体験をシェアするだけでなく、犯罪やテロをも根絶できると宣言し、拍手喝采を浴びるのだった。
ベイリーの発表に、プライバシーがなくなっていくことへの恐怖を拭えずにいたメイは、社内の野外パーティーで「トゥルーユー」の開発者であるタイと出会う。
「サークル社を変えなくては。僕の当初の構想とは大違いだ」とタイから打ち明けられたメイは、ますますサークル社への違和感を募らせていく。
そんなある日、幼馴染のマーサーが手作りした鹿の角のシャンデリアの画像をSNSにアップしたメイは、突然会社を訪れたマーサーから猛抗議を受ける。
メイの投稿がきっかけで、マーサーには「鹿殺し」と非難が集中し、なんと殺人予告まで届くようになっていたのだった。そしてついに、メイはマーサーから「君の世界の一部になりたくない」と別れを告げられてしまう。
そんなある日、メイに事件が起きる。
悲しい気分を変えようと、他人のカヤックを持ち出して溺れかけたメイは、たまたま「シーチェンジ」でアザラシを見ていた会員からの通報で命を取り留めたのだった。
この事件をきっかけに、メイはベイリーから、シーチェンジカメラを24時間身につけて、自らのすべてをオープン化しないかという提案を持ちかけられて……。