映画『ザ・サークル』に考える、未来のSNS社会の光と影- 古川ケイの「映画は、微笑む。」#28
◼︎二大ハリウッドスターが魅せる!演技合戦に注目
本作の見どころは、エマ・ワトソンとトム・ハンクス、ふたりの二大ハリウッドスターの共演にあります。
エマといえば、『ハリー・ポッター』シリーズのハーマイオニー役で知られていますが、今年はディズニー・アニメの不朽の名作『美女と野獣』の実写化で、新たに大人の女性としての一面を見せてくれたばかり。
自らも約2500万人のTwitterフォロワー数を誇る彼女が、本作では、SNSに批判的な思いを持ちながらも、自らの24時間をSNSにオープン化することになってしまうヒロイン・メイを見事に演じます。
また、SNSによって犯罪やテロを根絶やしに、世界を改革しようとするカリスマ経営者イーモン・ベイリーを、二度のアカデミー賞に輝くトム・ハンクスが演じます。
トム・ハンクスというえば、愛嬌たっぷりの役柄のイメージが強いですが、本作では一転、翳(かげ)りのある演技で、自らの野望のためにメイを利用しようとするベイリーを熱演します。
本作は、自らの24時間をオープン化することになったメイの周りで起きるさまざまな事件を描きます。フィクションではあるものの、そこに描かれる光景は、やがてやって来るかもしれないSNS社会の光と闇をスリリングに映し出します。