“読書初め”におすすめ。『千年後の百人一首』で千年前の恋歌に思いを馳せる
あけましておめでとうございます。新しい年を迎え、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
お正月飾りや初詣、おせち料理に年賀状。新年は、1年のうちで最も「和」を感じる季節。
そんな時期におすすめの本をご紹介します。
■挿絵も美しい百人一首の本
『千年後の百人一首』。タイトル通り、内容は百人一首です。
ただ、「千年後の」とあるように、清川あさみさんが、布や糸・ビーズで描きおろした情景(挿絵)と、最果タヒさんの現代語訳で表現されているため、学生時代に学んだ百人一首とはひと味もふた味も違います。
まず、清川あさみさんの挿絵が、本当に美しいのです。ひとつの歌につき、挿絵もひとつなので、当然、挿絵は百あります。
歌の内容によって、挿絵の趣もそれぞれ異なり、月や水のような自然を感じるものから、季節を感じるもの、詠み人の切なさや寂しさ、恋心や情念のような感情を感じさせるものなどさまざまで、文章を読まずとも挿絵だけでも引き込まれるほどです。
ページをぱらぱらとめくって、この百の挿絵を眺めるだけでも、美しいものに触れる時間を堪能でき、ある意味、芸術鑑賞といってもいいかもしれません。
■不倫の歌でさえも情緒のある表現
もちろん、最果タヒさんの現代語訳も素晴らしく、たとえ、恋心なんてとうの昔にどこかに置いてきてしまった、という人でも、グッとくるものがあるのではないかと思います。