”衝撃の40分”から目が離せない! 『デトロイト』が描く歴史に埋もれた戦慄の一夜 古川ケイの「映画は、微笑む。」#35
こうした非常事態に、ミシガン州は州警察と軍隊を投入。街には無数の兵士と戦車が行き交うようになる。
――そして、暴動発生から3日目の夜。
とある食料品店に民間警備員として雇われていたディスミュークス(ジョン・ボイエが)はバージニア・パークのそばにあるアルジェ・モーテルから”狙撃者による発砲”があったという騒動を聞きつけ、警察とともにモーテルにやってきた。
真っ先にモーテルに突入したのは、デトロイト市警の白人警官クラウス(ウィル・ポールター)。
クラウスは、街で略奪を行っていた一般市民の黒人男性に発砲するなど、警察の規則に背く行為を行う、人種差別主義の危険人物だった。
実は、モーテルでの発砲は、黒人青年カールが窓際でオモチャの銃をならしただけ。つまり、たわいない悪ふざけだったのだが、警察の突入に慌てて階段を駆け下りたカールを、クラウスはためらうことなく背後から射殺する。
そして、クラウスはカールが倒れた現場にこっそりとナイフを起き、正当防衛を偽装するのだった。
さらにクラウスの暴走は止まらず、モーテルに居合わせた若者たちを次々と拘束する。
音楽業界での成功を夢見る、デトロイト出身の黒人ボーカルグループ「ザ・ドラマティックス」