”衝撃の40分”から目が離せない! 『デトロイト』が描く歴史に埋もれた戦慄の一夜 古川ケイの「映画は、微笑む。」#35
さらに、女性CIA分析官によるオサマ・ビンラディン捜索の舞台裏を描いた『ゼロ・ダーク・サーティ』を12年に発表すると、同作もアカデミー賞の5部門でノミネートされるなど、センセーショナルな題材選びと、骨太な作風に大きな定評を得てきました。
本作でも実際に起きたデトロイト暴動の「アルジェ・モーテル殺人事件」を圧倒的なリアリティで映像化し、その手腕を高く評価されています。
◼︎映画史上に残る戦慄の”死のゲーム”。衝撃の40分に目が離せない
警察や軍が、オモチャの銃による発砲を”狙撃者による発砲”と誤認したことに端を発した「アルジェ・モーテル殺人事件」の被害者は、若い男女9名(黒人男性7名、白人女性2名)。
そのうちひとりの黒人男性が、デトロイト市警の白人警官に射殺され、残る8人が発砲の容疑者として、強制的な尋問を受けるはめになりました。
人権問題に抵触しかねない現場への関与を恐れたミシガン州警察は、見て見ぬふりをして現場から立ち去り、モーテルは逃げ場のない密室状態となります。本作では、その拷問シーンがなんと40分も続きます。
8人を廊下に並ばせ、ひとりを別室に連れ出し、その鼻先で拳銃を発砲した白人警官・クラウスは、泣き叫ぶ残りの7名に「あっけなく死んだぞ。