パルムドール受賞! 『万引き家族』は是枝作品初心者にもオススメ 古川ケイの「映画は、微笑む。」#53
祖母・初枝を演じるにあたり、「その方が気持ちが悪い」という理由で、普段よりも髪を伸ばし、入れ歯を外すという役作りを行っています。
また、初の是枝作品参加となった母の信代に扮した安藤サクラ、信代の妹・亜紀に扮した松岡茉優、そしてオーディションによって選ばれた子役のふたりが、絶妙なバランスで「犯罪でしかつながれなかった」家族にリアリティを与えています。
◼︎「犯罪でしかつながれなかった」
すでに死亡している親の年金を、家族が不正に受給していた事件を知ったことが、本作を作るきっかけになったという是枝監督。
まずはじめに思いついたのは、「犯罪でしかつながれなかった」というキャッチコピーだったそうです。
家族のつながりに根底にあるものは、果たして”血”なのかどうか。
2013年の『そして父になる』、2015年の『海街diary』などの作品で、家族のつながりに大切なのは血なのか?一緒に過ごした時間なのか?という問いかけを提示した監督が、血ではなく犯罪でつながった家族の姿を描き、あらためて絆とは何かを問い直します。
これまで是枝作品を観たことがない方にとっても、是枝作品のエッセンスがすべて詰まっている本作。