「好き」の気持ちに素直に、諦めずに続けること。人生は何歳からでも変わっていく
若い頃、音楽活動をする仲間たちのお手伝いをしていた。私がとても好きな音楽を作るグループ。メンバーやお客さんの作る空気があたたかく、みんなと友だちになった。
そのグループの中で友人になったのが崇山祟くん。当時からべらぼうに絵が上手かったと記憶している。音楽と同じくらい丁寧に描き込まれた彼の絵が好きだった。
『恐怖の口が目女』は、祟山くんがSNSでシェアをしていた漫画だった。かなり初期の頃に作品を知ったので、そこから更新されるたびに読んでいた。
当時は祟山くんがどこかの雑誌に連載しているわけでも、仕事として描いているわけでもなかった。彼が時々気ままに描いて、Webにアップしていた漫画だった。
■作者と、作品と、一緒に走った感覚
毎回更新したらFacebookで「更新しました〜!」と投稿してくれる。それをタイムラインで見つけてはひたすら追いかけ続けた。週刊誌や月刊誌を読まない「単行本派」の私が、かなり長い期間、唯一連載物で併走した作品だと思う。
後半、クライマックスに向けて執筆スピードが上がってきて、完結したとき、ちょっと私も抜け殻になった。作者と読者の関係だけど、完璧なウルトラマラソンコースを一緒に走りきったような不思議な達成感と多幸感が溢れた。