命をつないだ“包み” 〜風呂敷ワークショップで学ぶ、戦争のこと〜
「『包』という字は、人のお腹の中に胎児がいる姿を表した文字。(「勹」は横から見た人の形。「巳」は胎児(たいじ)の形を表す)その『包』という漢字を使い、かつて“包み”と表現されていたのが“風呂敷”。つまり風呂敷は“大切なものを包む”ための道具なんです……」
こんな話をしてくれたのは、先日、都内で“風呂敷ワークショップ”を開催した、石毛教子さんだ。
石毛さんは、風呂敷伝道師として、各地で風呂敷の魅力を伝える活動をしている。この日も、ワインボトルやボールなど複雑な形のモノを、鮮やかな絵柄の風呂敷で美しく包んでいった。
たとえば、石毛さんがワインボトルを包むと・・・こんな感じに。
贈り物をするときには是非挑戦したい、心も伝わる“包む技術”だ。
この日参加していたのは、小学生からご年配者まで様々。
石毛さんの軽快なトークとその技に、笑顔の耐えないワークショップとなった。
このワークショップが開かれたのは、満州からの引揚げ、シベリア強制抑留など、戦後の労苦についての資料が展示されている
「平和祈念展示資料館」(東京都・西新宿)。
しかし、いったい何故、このような資料館で、風呂敷ワークショップ・・・?
実はこれ、風呂敷の魅力を伝えるためだけでなく、風呂敷が生活の様々な場面で利用されていた、戦中戦後の歴史について知ってもらうきっかけにしようと、平和祈念展示資料館が企画したもの。
確かに、平和祈念展示資料館に展示されている当時の写真や文献などを見てみると、当時、多くの場面で人々が風呂敷を利用していたことが分かる。
例えば、満州からの引揚者たちは、長期にわたる引揚げ生活に必要な食べ物や、食事道具、季節の洋服などを、風呂敷に包んで持ち歩くことも多かったようだ。
風呂敷は、当時、人々の命をつなぐ、大切な“包み”だったのだ。
満州からの引揚げ船の船内の様子。辛うじて持ち帰った荷物が、風呂敷に包まれていたことが分かる。(平和祈念展示資料館に展示)
今回、このワークショップに横浜から親子で参加した原田さんは、
「風呂敷包みに興味があって参加しましたが、戦争の歴史について子どもと学べるいい機会になりました。」と話していた。
今回のワークショップは会期を終了しているが、平和祈念展示資料館には、食事道具などの荷物を風呂敷で包む体験ができる体験コーナーも常設。
当時を生きた人々の知恵と、そこにあった労苦を知ることができる。
是非一度、訪れてみては。
平和祈念展示資料館(東京都新宿区西新宿2−6−1新宿住友ビル48階)
開館時間:午前9時30分〜午後5時30分
入館料:無料
http://www.heiwakinen.jp/
取材/おうちスタイル編集部
☆MOTTAINAI プロジェクト
クリエイティブディレクター箭内道彦デザイン
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