●ブドリの声の出し方で苦労された点は?物語は幼少期から始まるので、「どういう風にしましょうか?」と伺ったら、「小栗君の中の高い声を出してください」と言われました。その声のトーンをみんなで探っていって、「これでいこう」となったところからは、濁らずに引っ掛かりのない声を出したいと自分では意識しました。ブドリは多くを語らない子なので、言葉を発するときにはピュアでストレートなものになればいいなと。自分の中にあるピュアなものを、必死に奥から引きずり出してやっていた感じです。
声のトーンとしては幼少期から始めて、山を下りて赤ひげと会うあたりでちょっと声変わりをして、後半火山局に勤めて数年立ったあたりで立派な大人に成長しているという。些細なマイナーチェンジなんですが、ブドリの絵柄も少しずつ成長していきますから、『このときのブドリだったら、こんな風にしゃべるかな』と絵柄からイメージを膨らませて声のトーンを決めていきましたね。
●宮沢賢治の作品は自然に対する独自の考えや見方がありますが、小栗さん自身は自然に対してどのような向き合い方をしていますか?最近スキューバダイビングのライセンスを取ったので海にもぐったり、暇があると山に登ったりしています。そのたびに自然はただただ凄いと感じますが、自分が観ているこの景色がずっと残ればいいなと思いますね。
山でも夏に登るのと冬にのぼるのでは、景色の顔が全然違いますし、1日に1日表情が変わっていくんです。僕らも生きているけれど、この自然のほうがズッと先からこの地球に生きているんだと思うと、尊敬しないといけないなって。