話題のドキュメンタリー映画「モンサントの不自然な食べもの」がまもなく公開
さらにモンサントは自社開発した種に対して特許権を取得。モンサントの種を使った農家は、作物を収穫した後に自家採種することは認められていない。もしも自家採種した場合は、特許権侵害として訴えられ、多額の賠償金を命じられることになる。
マリー=モニク・ロバンはインターネット検索で得たモンサントに関するさまざまな公式文書を元に、それらに関係する政府高官や学者、専門家、農家たちへ会いにいく。彼らの証言によって、モンサントの実態が次々と明らかになるのだが、果たしてモンサントの本当の狙いとは…。
ちなみに日本でも遺伝子組み換えの種が一部認可されているが、ほとんど試験栽培のみで、商業栽培はされていない。しかし大豆、トウモロコシ、ナタネ、綿実などの遺伝子組み換え作物自体は輸入していて、多くは食用油や液糖の原料、家畜飼料として使われている。
通常、食品の原料に遺伝子組み換え作物を使用した場合は表示義務があるが、組み替えられたDNAや、それによって生成したたんぱく質が含まれない場合は表示しなくてもよいと決められている。
したがって表示がないために、知らず知らずのうちに植物油や飲料水、肉を通して口にしていることはある。
豆腐や納豆の原料に表示されている「遺伝子組み換えではない」。今のところ、私たちはそうした表示を見ることでしか判断ができない。しかし国産トウモロコシや菜種を使った油を選ぶとか、肉を食べるのを控えるとか、少し知識を身につけるだけで判断材料は増える。果敢な女性ジャーナリストによる本作は、食への意識を高めるきっかけになるはずだ。
「モンサントの不自然な食べもの」
監督:マリー=モニク・ロバン
カナダ国立映画制作庁・アルテフランス共同製作
2008年/フランス、カナダ、ドイツ/108分/原題:Le monde selon Monsanto
協力:作品社、大地を守る会
9月1日より、渋谷・アップリンクにて公開
http://www.uplink.co.jp
取材/杉江あこ