ジェットコースターのような興奮を、『ローン・レンジャー』バービンスキー監督が熱く語る
ジョニーがトントを演じるということは、決まっていたので、トントを適切に描くことも大切だと感じました。私たちのバージョンの『ローン・レンジャー』では、どちらが助手なのか分かりません。私は「ドン・キホーテ」が大好きですが、サンチョ・パンサの視点からドン・キホーテを語る、というスタイルにずっと興味を持っていました。
ジョニーがトント役につき、物語も決まった所で、次はローン・レンジャーに戻り、この男の人間像を作り上げることになりました。アーミー・ハマーをキャスティングしたことで、すべてが解決したようなものです。
私たちは、言ってみれば、往年のスター、ジェームズ・スチュワートをウェスタン映画の巨匠サム・ペキンパー監督の映画に放り込んだようなタイプのキャラクターを求めていました。
『リバティ・バランスを射った男』のジェームズ・スチュワートは、エプロンをしたまま拳銃を片手に外を歩きますが、それはある意味、彼の信念の現れです。私たちのローン・レンジャーにも、そういった信条を持たせ、この信条を、正義さえも金で買えてしまうグレーな社会にぶつけたいと思ったのです。
そんな彼の相棒としてトントを据えることで、法を重んずる男vs大自然に従う男という図式の人間関係が出来ました。2人はお互いにないものを埋め合って完全になる、そういうストーリーに私は強く惹かれました。