猫たちの名演技を観よ! ロシア発、猫映画の決定版『こねこ』【映画ライター渡まち子の「猫目線」映画レビュー3】
◆この映画の猫ポイントはここ!画像:(c) Remains – Fotolia (写真はイメージです)
チグラーシャとは、ロシア語で子トラちゃんの意味。このコの可愛さには、もうメロメロです。でも、一家にもらわれてきたばかりの頃は、好奇心旺盛でいたずらばかり。カーテンは引き裂く、食器や花瓶は割る、フルート奏者のパパの楽器ケースにフンまで! 猫を飼った経験がある人なら、このやんちゃぶり、わかりますよね。
この映画には、たくさんの猫が登場します。特に天涯孤独で多くの捨て猫の面倒を見ているフェージンという男性のもとに身を寄せている猫たちの名演技にはビックリ。シャム猫は飼い主の足を上手にくぐり抜け、白黒ブチ猫は2本足でジャンプ! 猫たちのリーダーでチグラーシャを助けるトラ猫ワーシャのりりしさには、惚れ惚れしました(笑)。
自由できまぐれ、人間の言うことをきかず我が道をいく猫を、ここまで芸達者な“役者”にしたのは、世界一の猫遣いと言われるアンドレイ・クズネツォフ氏。
実は、猫好きのフェージンを演じているのがこのクズネツォフさん自身なんです。哀愁漂う孤独な男性フェージンが、猫のサーカスを夢見るシークエンスは、幻想的な名場面でした。猫映画の決定版という宣伝文句も納得のこの映画、たしかに猫たちの可愛さは天下一品ですが、猫に無償の愛情を注ぐ、貧しくも心優しいフェージンこそが、物語の本当の主人公なのかもしれません。