迷い猫が離婚しそうな夫婦を救う? 『愛してる、愛してない』【映画ライター渡まち子の「猫目線」映画レビュー6】

◆この映画の猫ポイントはここ!
迷い猫が離婚しそうな夫婦を救う? 『愛してる、愛してない』【映画ライター渡まち子の「猫目線」映画レビュー6】

画像:(c) Azaliya (Elya Vatel) – Fotolia (写真はイメージです)


映画の中盤、大雨で家の中に閉じ込められた夫婦が出かけることもできずにいると、ベランダにグレーの子猫が迷いこみます。愛らしいその子猫は、淡々とした物語に起伏をつける大切な役目。それだけではなく、出ていくと決めても心に迷いがある妻の内面と、見知らぬ家に迷い込んだ子猫の不安を重ね合わせるという、なかなかしゃれた演出なのです。夫婦は子猫にミルクを与えたりしながら、雨が止むまで…、物陰に隠れた子猫が出てくるまで…と、言い訳を胸に別れの時を引き延ばします。

やがて現れた子猫の飼い主によると、子猫の名前はハル。首輪には電話番号が書いてあり、物陰から出てきたら電話してと伝言していきます。子猫が家に帰るとき、この夫婦は果たしてどうなっているのでしょう。韓国映画のイメージを覆してくれる、この静かなラブ・ストーリーでは、頼りなく不安そうな子猫が不安定な夫婦愛の象徴になっていました。
2人を世間から切り離すように、降り続く雨の音が、とても印象的な映画です。
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