地球暦リリース記念特別講演 ~僕らの地球は動いている~ イベントレポート
おふたりの共通点といえば、ともに音楽を志し、活動の根幹には音楽への愛があること。つまり、お話の根底にもつねに音楽があります。なかでも貴重だったのは、
惑星の音を聴けたこと。
宇宙探査機ボイジャーが録音した、
星の運動による振動=電波を人間が知覚できる周波数に変換したもので、木星と土星は、グワーンという連続した重低音を発していました。たまにワンワンと違う種類の音が入るのは、ガスのリングの干渉音。
329 Photo Studio / 岡村靖子
では地球は、どんな音をしているのでしょう。なんと、異なる音が重なり合って、ハーモニーを奏でていました。それは音楽だったのです。
豊かな音の正体は、水や雷。目で見て地球が美しいことは、宇宙から捉えた地球の写真から知っていました。しかし耳で聴いても美しいとは、初めて知りました。
うむを言わさない圧倒的な存在感、ここに生きているという圧倒的な事実を音で突きつけられ、ただただ全身がそれに反応し、感動を覚えた瞬間でした。
329 Photo Studio / 岡村靖子
おふたりは、
自分のことは外から見なければわからないと言いました。
宇宙のことを知ることは、自分の内側を知ることだとも。佐治さんの関わったボイジャー打ち上げのプロジェクト然り、地球を飛び出し、太陽系、銀河系、宇宙のこと。この世界の創生のこと。
私ひとりの微細な生命など、そんな壮大な営みとは一見、関係なさそうにも思えます。
けれど、私と宇宙は、確実につながっている。いま、ここ、私。あの美しい地球のハーモニーに、私も参加しているということ。
講演は、ミクロからマクロへ自在に視線を変えながら、宇宙と私のつながりを知覚させるモメントでした。この感覚は、地球暦を使っていくのに、この世界で生きていくのに、きっと役に立つのだと思います。
新たな時代は世界が一(ひとつ)の意識になり生物となる方向にある。
正しく強く生きるとは銀河系を自らの中に意識してこれに応じて行くことである。
──農民芸術概論/宮沢賢治
© nikonomad - Fotolia.com