猫を見つけたとき、きっと恋も見つかっている。『猫が行方不明』【映画ライター渡まち子の「猫目線」映画レビュー12】
映画の中に登場する猫に注目して、作品の見どころや猫ポイントと共にご紹介するこのコラム。今回ご紹介するのは、フランス映画『
猫が行方不明』(1996年)。
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パリを舞台に、行方不明になった猫を探すヒロインが、さまざまな人と出会うことで成長していくヒューマン・コメディーです。
◆あらすじパリに住むメイクアップ・アーティストのクロエは、休暇で海に行く間、愛猫のグリグリを猫好きのおばあちゃんのマダム・ルネに預かってもらいます。でもバカンスから戻るとグリグリが行方不明に! 多くの人を巻き込みながら、グリグリの大捜索が始まりますが…。
◆猫探しの中で巻き起こる恋と騒動パリを舞台にした映画には、おしゃれでスタイリッシュな作品が多いのですが、この映画の舞台は11区という活気ある庶民的な地区。
パリっ子たちの飾らない暮らしぶりが垣間見える、親しみやすい作品です。行方不明になった猫を探すというミッションで活躍するのは、頑固だけど気のいいマダム・ルネが中心になったおばあちゃんネットワーク。あっという間に情報が伝わるかわりに、噂話が多いのが玉にキズ…。
さまざまな人種が登場するのも、移民の国フランスらしいところです。主人公のクロエは、迷子になった猫を探すことで、以前はまったくつきあいがなかったご近所の人々や、自分とは違う世代の人間と触れ合うことに。さりげないロマンスも盛り込まれたキュートな物語は、さながらパリをスケッチするような軽やかさです。