カンヌ映画祭グランプリ受賞作 「夏をゆく人々」 が描く、家族の物語とは?
カンヌ映画祭グランプリ受賞作
「夏をゆく人々」がいよいよ日本でも公開となりました。監督は、1981年イタリア生まれの女性監督、
アリーチェ・ロルヴァケル。
映画監督 アリーチェ・ロルヴァケル
「夏をゆく人々」は、心の奥底に分け入る
繊細なみずみずしさと、
ダイナミックに場面を切り取る斬新なセンスで、私たちをまったく違ったイメージのイタリア体験に連れ出してくれる話題作です。
© 2014 tempesta srl / AMKA Films Pro ductions / Pola Pandora GmbH / ZDF/ RSI Radiotelevisione svizzera SRG SSR idee Suiss
イタリア映画なのですが、ミラノのお洒落なモンテナポレアーネ通りも、ローマの美味しいピッツェリアも、フィレンツェの有名美術館も登場しません。
トスカーナの田舎の村に暮らす、昔ながらの製法で蜂蜜を作る
養蜂一家の物語。
ひと夏の
日常が描かれただけなのに、どこか
ノスタルジックで
人間味あふれる展開にグイグイ惹きこまれていきます。
「自然養蜂」にこだわる頑固な父、ひと夏の家族の物語寝る時はどんなに寒くても裸で寝る、という主義らしく、パンツ一丁で寝る父
ウルフガング(サム・ルーウィック)は、自然農法ならぬ
自然養蜂にこだわるドイツ人。
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なかなかの頑固親父で、優しいイタリア人のお母さん・アンジェリカ(アルバ・ロルヴァケル)は、たまに腹に据えかねて言い争うことも。4人姉妹と居候の女性ココを含む一家で、光と緑あふれる大地のもと、蜂蜜作りを営む日々。長女
ジェルソミーナ(マリア・アレクサンドラ・ルング)は13歳にしてその製法に精通し、父親の片腕的存在です。
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映画の中で登場する、養蜂のプロセスに思わず目がクギ付けに。リアルな
ミツバチの大群の映像を、最初は「ひえ~っ」と思いながら観ていたのですが、ジェルソミーナの慣れた反応、家族のように接する愛情深い姿勢に、だんだん愛らしく大事な存在に思えてきたから、あら、不思議!
監督自身、ジェルソミーナと同様に、同郷で
養蜂家の家に育ち、父親はドイツ人で母親はイタリア人、幼少時からミツバチが最も慣れ親しんだ生きものだったとか。
「ジェルソミーナ役のマリア・アレクサンドラ・ルングには、ハチに慣れてもらうため、多くの時間を費やしたわ。役柄になりきってもらうために、養蜂の仕事をマスターしてほしかった。何度かハチに刺されても、マリアはくじけずにがんばってくれたの」と監督。
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ハチを手づかみはおろか、口の中から出して顔面を歩かせたりするシーンが! 撮影当時は11歳で、それまでは演じた経験が全くなかったという、彼女のプロ根性に脱帽です。