■言葉を知らない小さな子どもに向き合うように、自分のカラダと向き合う
では、「カラダの声を聴く」とは何をしたらいいのでしょうか?
まだ言葉をもたない小さな子どもや、ペットの姿を、今ゆっくりと思い浮かべてみましょう。想像の中で、言葉を話さない彼らとより良い関係を持とうとするとき、あなたならどうしますか?
おそらく、自然と彼らを観察することから始めるのではないでしょうか。言葉に頼らない時、私たちはゆっくりと時間をかけ、いつもよりも鋭敏なアンテナを立てると思います。
優しいまなざしを向け、耳を澄まし、そっと近づき触れたりしながら、少しずつ信頼関係を築きます。相手が言葉を持たないと知っているにも関わらず、こちらから優しい声をかけたりするでしょう。
相手がこちらの意味を理解していなくても、優しい声のトーンや音の持つエネルギーが相手に安心感を与えるものとなることを、私たちは無意識に知っているからです。
相手の願望を満たすにはどうすれば最善なのか、を自然に模索します。彼らを理解しそれが満たされたと感じるとき、自分の内側でも与えることの喜びを体験しているのです。
これと同様の感覚を、今度は自分自身のカラダに向けてみましょう。小さな子どもに向き合うように、いつも頑張ってくれている自分のカラダと向き合う時間を、じっくり持ってみるのです。
自分のカラダに寄り添い良い関係を持とうとするときも、静かに観察する時間が必要になります。
まずは、ゆっくり自分のカラダを眺めることから始めてみてもいいでしょう。普段は見過ごしてしまうようなことに、視覚で気づくこともあるでしょう。
ひょっとしたら、あなたの両手が自然とその部分に伸びて、触れたりさすったりするかもしれません。
■目をとじて、さらに深いカラダの感覚の声を聴く
目を閉じるとより内側の感覚を感じやすくなる人が多い、と言われています。
目を閉じて、今度は自分自身のカラダの内側の感覚に意識を向けてみましょう。
どこか痛みや具合の悪いところに気づくかもしれません。
逆に、リラックスしている時間を持てていることがうれしいという感覚に気づく人もいるかもしれません。胸の辺りの不安や焦りに気づくかもしれませんし、ワクワクする胸の高鳴りや喜び、感謝といったものを感じる人でしょう。
中には、特別に感じるところは特に何もない、と感じる人もいると思います。
この時、覚えておいてほしいのは、正しい、間違っているというものは全くなく、あなたが今ありのまま感じていることが「正解」なのです。
このようにありのままの感覚を観察する時間を持つことで、あなたとあなたのカラダとのあらたしい関係性を始めることができます。
■日常生活でも習慣にしよう! カラダの声の聴き方
日常生活を送る中で、カラダの声を聴く習慣をつけることはとても有効です。
たとえば仕事がうまくいっていないとき、「キリキリ」とした胃の痛みがあなたに届くかもしれません。
日曜日の夕方、胸の辺りになぜか鳴り止まない「ざわざわ」とした不安な感覚を感じるかもしれません。
子育てをしながらつい感情的になってしまった後に感じる、「どーん」という重く暗い感覚、ありませんか?
特に困ったことはないけれど、やる気が湧いてこない無音のような感覚も、立派なカラダからの「声」です。私たちのカラダは、何かしらのサインを送っているのです。
あなたのカラダの感覚を感じたら、そっと寄り添い、小さな子どもの表情を読むように、好奇心を向けてあげてください。
もしも、カラダの感覚が言葉を話せるとしたら、どんな「声」になるでしょうか。
「いつも平気なフリをしているけれど、本当はだれかの助けが必要と感じている」
「もっと生き生きと、あるがままに生きたい」
「もっと深く分かり合える関係を築きたい」
ひょっとしたら、本来のあなたからそんな「声」が届いているのかもしれません。