ギブアンドテイクの法則を心がける 日常に「美学」を取りいれよう
■ほめられてこそ自信を持つことができる
何かを変えたいと思ったヨーコちゃんは、海外で働きながら語学を学ぶ、ワーキングホリデーに参加することを決めました。選んだ先は、オーストラリアでした。
言葉もままならず、知りあいもいない。そんななか、語学学校に通いながら働くのは大変だったことでしょう。それでもがんばれたのは、さまざまな国籍の人たちとのふれあいだったそうです。
「一番うれしかったのは、ささいなことでほめてもらえたこと」と、ヨーコちゃんは当時をふりかえります。
最初に勤めたカフェでのできごとです。オーストラリア英語は発音が独特で、簡単なオーダーも聞きとりにくいため、ミスも増えてしまっていたそう。
ヨーコちゃんは、だんだん無口になっていきました。
元気がない彼女にオーストラリア人の女性店長がいったひとことが、それからの彼女を大きく変えたそうです。
「あなたの笑顔はとてもすてきね。今日のお客さまはきっとみんな、あなたの笑顔を見にきているのよ」
コミュニケーションは言葉ではなく、気持ちの問題なのだと気づいたときに、肩の力が抜けたといいます。それからは、聞きとれないオーダーは何度でも聞きなおし、笑顔での応対を心がけるようにしたそうです。
■日本は「ダメ出し文化」?
ヨーコちゃんの両親は厳格で、ほめるよりも欠点を指摘することの方が多かったそうです。小さいころからの刷りこみのせいか、大人になってからも自分はダメな子だという思いがいつもあったといいます。
しかし、カフェの店長にほめられた「笑顔」に自信を持てるようになり、人と積極的に接するようなったそうです。
これが日本だったらどうでしょう。まず店長は「仕事に慣れてないのも、言葉が問題なのもわかる。しかし、ミスしないように!」と注意はしても、彼女のいいところをほめるということはしなかったのではないでしょうか。