思うようにならない現実にイラッ。読んでおくべき小説3選


■バツイチの男二人が営む便利屋に続々珍客が

3冊目は、三浦しをんの『まほろ駅前多田便利軒』(文藝春秋)。映画化、ドラマ化もされました。

便利屋を営む多田とそこに転がりこんだ行天。高校の元同級生で、特に仲が良かったわけでもない二人。家庭の匂いがまったく感じられない男たちの共通点はバツイチであること。

便利屋として珍客の相手をしていくなかで、徐々に自分の過去と向きあっていきます。続編の『まほろ駅前番外地』『まほろ駅前狂騒曲』もおすすめ。

この3作品は、現代を生きる若者の心情がとてもていねいに描かれています。
主人公以外でも誰かしら共感できる登場人物がいるかもしれません。

彼ら彼女らの抱える悩みや置かれている状況は、必ず解決するわけではありませんが、それでもなんとかして、あるいはなんとなく生きていこうとする姿は実に愛おしいもの。

読み進めていくうちに、自分の人生も愛おしくなってくるような気持ちになります。ラフな部屋着に着替え、ラクな姿勢で読んでみてください。

(あこ<フォークラス>)


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