年末の恒例行事のひとつとして挙げられるのが年賀状の作成ですが、寒中見舞いに関しては、その書き方とマナーは知っていますか。
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寒中見舞いを送ることがマナーということはわかっているけれど、どういう内容で、出す時期はいつなのか、写真やイラストを載せてもいいのかなど、疑問点がいくつもあるはず。
喪中の方へ寒中見舞いを送る場合の注意点など、寒中見舞いの書き方や、知っておきたい大人としての常識を紹介します。
寒中見舞いって何?
寒中見舞いは次のようなケースに当てはまるときに出す書状です。
- 喪中はがきが届いたために年賀状を送れない人へ出す
- 年賀状を書いていなかった人への返礼
- 年賀状を送った相手が喪中とは知らなかった場合、お詫びとお悔やみとして
- 自身の身内に喪中があったときに出すお知らせと一年のお礼
- 自身の身内に喪中があったことを知らせておらず、年賀状をもらったときにその旨を伝える
- 季節のご挨拶
それぞれを詳しく解説していきます。
- 喪中はがきを受け取った場合、その人に対して年賀状を送ることは非常識にあたります。年賀状を出せない代わりに寒中見舞いを書き、喪中の方へのご挨拶をしましょう。
- 一般的に年賀状は松の内、つまり1月7日までに出すものとされています。こちらから年賀状を出していない人から受け取ったのに、7日までに返礼できなかった場合に寒中見舞いを出します。
- 相手に不幸があったことを知らずに年賀状を出してしまった場合、寒中見舞いを出してお悔やみのご挨拶をします。
- 喪中があったことを伝えるために寒中見舞いを用います。
- 身内に不幸があった旨を伝えていなかった相手から年賀状が届いてしまうこともあるかと思います。そのような相手には寒中見舞いで欠礼をお知らせしましょう。
- 暑中見舞いと同じように、季節のご挨拶を送ります。寒い着季節に体調を崩していないか、相手への心遣いを伝えます。
寒中見舞いを出す時期は、立春の前日までとなっています。
年賀状作成の際に、寒中見舞い用のハガキなども同時に用意しておくと年が明けてから慌てずに済みますね。
寒中見舞いを出す時期は?
寒中見舞いは、1月7日の松が明けてから出すのが時期的なマナーです。二十四節気の「小寒」「大寒」となる寒中の時期に送るのが寒中見舞いということになります。つまり1月8日から節分の2月3日までの時期に届くようにしましょう。
ただ、松の内の時期は、地域によって異なるので気を付けてください。例えば、一般的に関東では松の内は1月7日までとされていますが、関西では1月15日までを松の内の時期としているところもあるようです。寒中見舞いを出す際は、松の内の時期などを近くの神社に聞いてみるのもよいでしょう。
寒中見舞い 基本の書き方
では、どのように寒中見舞いを書けばよいのでしょうか? いくつか基本的な例文をあげてみます。
文例1
寒中お見舞い申し上げます。
寒い日が続いておりますがいかがお過ごしでしょうか。
お風邪など召されませぬようご自愛ください。
文例2
寒中お見舞い申し上げます。
旧年中は大変お世話になり、ありがとうございました。
新年のご挨拶が遅くなり、失礼いたしました。
新しい年の皆さまのご活躍を心よりお祈り申し上げます。
本年もよろしくお願い申し上げます。
文例3
寒中お見舞い申し上げます。
○○様のご冥福を謹んでお祈り申し上げます。
この度はご服喪中とは知らず賀状をお送りしてしまい失礼いたしました。
厳しい寒さが続きますが、みなさまにおかれましても何卒お体を大切にお過ごしください。
文例4
寒中お見舞い申し上げます。
新年の賀状をいただきましてありがとうございます。
昨年○年〇日祖父○○が〇〇歳にて永眠いたしました為、年頭の挨拶を控えさせていただきました。
今後とも変わらぬお付き合いをお願いいたします。
文例5
寒中お見舞い申し上げます。
寒さ厳しき折、おかわりはありませんでしょうか。
時節柄、どうぞお体ご自愛ください。
寒中見舞いのハガキの種類は?
寒中見舞いに、年賀ハガキは使わないようにしましょう。寒中見舞いのハガキには、喪中の相手の送ることも想定し、あまり派手なデザインを選ばないようにしましょう。
パソコン・プリンターの普及もあり、年賀状のデザインに力を入れている人も多くみられます。寒中見舞いに、イラストや写真を用いるのは問題ありませんが、特に喪中の方に宛てる場合には、色やデザインは控えめのものにしましょう。
また、文中に「食事をしましょう」などプライベートなメッセージも寒中見舞いには書かないでおくのが大人のマナーといえるでしょう。
寒中見舞いで結婚や出産報告はマナー違反?
結婚や出産の報告ができなかった、していなかったという人がいれば、寒中見舞いに報告とご挨拶を兼ねることも可能です。
文例6
寒中見舞い申し上げます。
寒い日が続きますが皆さまいかがお過ごしでしょうか。
私事で恐縮ですが、私たちは○年●月に結婚しました。
未熟な二人ではございますが、今後ともご指導のほどよろしくお願いいたします。お近くにお越しの際はぜひお立ち寄りください。
文例7
寒中見舞い申し上げます。
喪中につき、新年のご挨拶は失礼させていただきました。
●月○日に私たちに長男が生まれましたのでご報告させていただきます。
お陰さまを持ちまして、健やかに成長しております。
今年の冬はいつになく寒さが続いておりますので、どうぞお体を大切にお過ごしください。
ここでのポイントは、ご挨拶の付け足しとして控えめに文章をまとめるということです。喪中であるのに結婚や出産報告をすることに抵抗を感じる人もいると思います。寒中見舞いでは、あくまでもご挨拶と近況報告を伝えることに専念しましょう。
寒中見舞いの頭語と結語、イラストについて
寒中見舞いでは「拝啓」などの頭語、「敬具」などの結語は必要ありません。最後は「平成〇〇年〇月」で締めくくると良いでしょう。
喪中時の寒中見舞いにイラストを入れる場合は、お正月やお祝いに関係する写真やイラストは入れないようにしましょう。
ダルマやコマ、干支、正月飾りなどのイラストは、縁起の良いものであり、喪中の方へ贈るのはタブーになります。
ご挨拶のみの寒中見舞いなのか、自身や相手が喪中なのかにより、イラストや書き方も異なってくると思います。相手やケースによってハガキのデザインを使い分け、文章も文例を参考に書き方を工夫してみてください。
書状で伝わる礼儀とマナー
今は、メールやSNSですぐにメッセージを送れる便利な時代になりました。しかし、書上をもってのご挨拶は、喪中の方への礼儀や心遣いをより相手に伝えるものかもしれません。
また、遠方にいる知人、お世話になった方々へも書状でのご挨拶を持って、成長したあなたの大人な一面をアピールしてみてください。
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