お金が貯まる夫婦、貯まらない夫婦
貯蓄モードになる正しいステップと間違った貯蓄モード
貯蓄できる鉄板ルール! 最大の"貯め期"を逃すな
わが家の家計の問題点を簡単に暴く
使いすぎなもの、削りすぎなものの続きです。
本連載も今回が最終回。最後は、貯蓄の「守り方」について考えてみよう。
日々、地道に努力して、貯めた貯蓄。けれども、それを取り崩す瞬間というのは、意外と「アッ」という間にやってくる。そして一度、「決壊」するとナシ崩し的に貯金を使ってしまうこともある。
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そうならないための工夫を、ファイナンシャルプランナーの畠中雅子に聞いてみよう。
■貯蓄を切り崩す理由
結論から先に言えば、貯蓄を切り崩す「原因」となるのは、多くの場合、特別出費だ。
「特別出費とは、毎月支払うわけではないけれど、
1年のどこかで発生するお金のことです」(畠中さん)
代表的なのは、家を持っている場合にかかる固定資産税。家の修繕費、車を持っている人は毎年自動車税もかかるし、2年(初回は3年)ごとに車検代もかかる。自動車保険や学資保険などを年払いにしている人は、それらの保険料も特別出費にあたる。
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このほか、夏や冬の帰省費用。スーツやコートなど、少し値のはる洋服代、パソコンや携帯電話などの購入費用。友達の結婚式のお祝い。1万円を超えるようなプレゼント代も、特別出費のカテゴリに入る。こういった特別出費をボーナスで支払っている人も多いだろう。
これらのお金について考えてみると、「確かに、わが家もそれで貯蓄を切り崩した!」と、思い当たる人も多いのではないだろうか?
■日々の出費よりも大事な家計管理
畠中さんは言う。「日々の出費の管理よりも、
特別出費の管理のほうが、家計管理の面では重要と言っても過言ではありません」(畠中さん)
なぜなら、日々の出費は大きく変動がない家庭が多いのに対し、特別出費の変動は、どの家庭でも、ものすごく波が大きい。
この記事を書いている私自身、畠中さんに教えていただいて、「日々の出費」と「特別出費」を別に記録するようにしてみた。しばらく記録をとると良くわかるが、「日々の出費」は、意外と変動がないものだ(水光熱費は季節変動があるが、年平均にすると大差ない)。ところが、特別出費については、畠中さんの言う通り、アップダウンの波の高さが年度によって異なる。
■未来の費用が予測できる!
「家計管理の肝は、できるだけ早い段階で
特別出費を管理する習慣を身につけておくことです」と畠中さんが言うのも、深くうなずける結果となった。
そこでまずは、 Microsoft® Excel®などで「特別出費の一覧表」を作ることくらいから始めてみてはどうだろう? 一覧表にして眺めてみるだけで、特別出費の「わが家の傾向」が見えてくる。
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たとえば帰省にどれくらいの費用がかかるかは、昨年のものを参考にすれば、今年度分の費用が予測可能だ。ご祝儀など冠婚葬祭も過去の記録があると参考にしやすい。パソコンやスーツ、コートなども、「自分が気にいるラインは、このくらいの費用だ」ということが、あらかたつかめることだろう。
特別出費の記録をつけると、「未来を予測して、お金の準備をする」ということができるようになってくる。この未来の予測をすることで、将来の収入の変化、妻が仕事を辞めたとき、子どもの教育費といった家計の予算修正に着手しやすくなる。
このメンタリティは、「『お金が足りない』と、慌てて貯蓄を切り崩す」という自転車操業的な気分とは、天と地ほどの差! こんな心持ちで暮らしていれば、「貯蓄に手をつけちゃったし、もう、いいや」という貯蓄の防波堤「決壊」も防げる。
■特別出費はわが家の歴史
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また、特別出費の記録は、わが家の歴史となりうる。大きなお金が動いたということは、大きなイベントがあったということ。それは、そのまま家族の歴史の記録でもあるのだ。こうして歴史を重ねていくことは、地道だけれど、けっして悪い気分ではない。
私自身、結婚して10年間、家計管理の方法がわからず、右往左往していた。その頃は、羅針盤がないまま航海をしているような気分だった。けれども、ひとたび家計管理の方法が身についてくると、航海は安定してくる。足元が固まってくると、気分も落ち着いてくるから不思議だ。
今回の連載が、家庭の「安定航海」のキッカケになるとうれしい。
■今回取材を受けてくださった畠中雅子さんの著書
『
結婚したら知っておきたいお金のこと(畠中雅子/海竜社)』
(本体1,200円+税)
●畠中雅子
3人の子ども(成人した長女、大学生の長男、高校生の次男)を育ててきたベテラン主婦であり、ファイナンシャルプランナー。数多くの著作を持ち、新聞、雑誌、ウェブに多数の連載を持つ。
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