「母になる」3話でみえた小池栄子の決意。「新しいお母さんじゃなくて本当のお母さん」言葉の真意とは?
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沢尻エリカ主演の連続ドラマ「母になる」(日本テレビ 毎週水曜22時~)の3話が4月27日に放送された。
沢尻が切ない母親役で新境地を開拓したことでも話題のドラマだが、今後彼女と対峙していく役どころになりそうな小池栄子の目力にも注目したい!目力というか、大きな“目玉力”が今週も圧巻だった。
沢尻演じる主人公の柏崎結衣は、3歳の時に誘拐された息子・広(道枝駿佑)と9年ぶりに再会を果たす。今週は事件後に離婚した夫・陽一(藤木直人)と共に心機一転し、広との3人暮らしを始めていく。
そんな中、広を7年間育てていたというもう1人の母親・門倉麻子が遂に結衣の前に現れる!
広は、結衣から誕生日プレゼントとしてもらったケイタイで、麻子にこっそり連絡を取ったり、写真を送ったりしている。
広は麻子のことが大好きなようで、児童福祉司の木野愁平(中島裕翔)に「2年間俺を施設に預けたのは何か事情があったんです。俺は捨てられたわけじゃありません」と言い切る姿も印象的だった。
麻子は結衣と対面すると、当時広が虐待され、マンションに閉じ込められていたところを自分が救ったと説明する。
麻子は「私は置き去りにされた子を救ったつもりでいました。あの時、私が助けなかったらあの子は死んでいました」と訴え、結衣も心を揺さぶられる。
この回では、なるべく平静を装い、凛とした立ち振る舞いを見せる麻子だったが、彼女の大きな眼は常に潤み、悲しみをたたえていた。
それにしても小池栄子って目玉自体が大きいのか、それとも白目の面積が大きいのか、その両方なのか?とにかく目は口ほどに物を言うという言葉どおり、澄んだ目玉から溢れる思いが伝わってくる。
小池栄子といえば、映画の代表作としてよく『接吻』が挙げられる。第30回ヨコハマ映画祭主演女優賞、第63回毎日映画コンクール女優主演賞など、数多くの主演女優賞に輝いた秀作だが、この映画のヒロインもかなりすさまじい内容だった。
会ったこともない猟奇犯罪者をテレビで観て強烈な恋愛感情を抱き、その後彼に会って獄中結婚をするというOL役。一見理解不能なヒロイン像も小池が演じることで生々しさと人間くさい魅力が加わり、どこか説得力を帯びていく。
その分、ラストで味わう衝撃度もハンパない。
また、「母になる」と少し似た設定で、少女を誘拐した女と少女の逃避行を描く映画『八日目の蝉』では、ルポライターの安藤千草役を演じ、第35回日本アカデミー賞優秀助演女優賞や第85回キネマ旬報ベスト・テン助演女優賞を受賞。
この千草もエンジェルホームという特殊な施設で純粋培養されて育ったせいで、男性と接触したことがなく、上手く人と関われないという難解なヒロイン像だった。
また、小池は『パコと魔法の絵本』の強面ナースや『パーマネント野ばら』のフィリピンパブのママ役など、強烈な色ものの役どころでも存在感を発揮できるし、アクション映画や舞台では男顔負けのキレキレのスタントもこなせる。まさにマルチな活躍ぶりだ。
第3話の最後には、麻子が広に「もう会わない」と別れを告げ、結衣のことも「新しいお母さんじゃなくて本当のお母さんだよ」と念を押す。麻子が1人帰ったインターネットカフェの個室で、広との思い出の写真データをケイタイから削除する姿は何とも涙を誘う。
果たしてこのままフェイドアウトしてしまうのか。
いや、そんなはずはない。きっとこの先、あの目玉力を駆使し、沢尻と火花を散らす展開が見られるに違いない。このドラマはその最終決戦に期待したい。
文/山崎伸子
※文章に一部誤りがありましたので修正しました。
2017年4月27日 15:50時点