「過保護のカホコ」に見る“家族”崩壊の形。「仲良し家族」が生む悲劇…
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加穂子と初(はじめ)がめでたく付き合いはじめたにも関わらず、加穂子の家族と親戚はたくさんの問題を抱えていた。自由放任主義宣言した母・泉とはギクシャクしたままだし、いとこの糸は親とも話さず毎晩夜遅くまで遊んでいる。そこに、ばあばの病気まで発覚したのだった。
就活どころか立て続けに起こる加穂子の家族問題
自分の就活も決まらないのに、家では母親に放任主義宣言をされた加穂子。初めてのお弁当はお米にふりかけと缶詰、バナナというありさまだ。今まではなんでもママに話していた加穂子だが、ママにも相談できない家族問題が勃発していた。
実はばあばが心筋症でいつ死んでもおかしくない状態だということを加穂子だけが知ってしまったのだ。しかも、ばあばは誰にも知られたくないと言っている。
今まで通り、みんなで集まれることが楽しみというばあばのために、なんとか糸の誕生日にはみんなを集めたい加穂子だった。
孫や娘としては素直で可愛い存在の加穂子だが、友だちになれるかというとちょっと疑問。大学時代、飲み会のたびに毎回最寄り駅まで連れて行かないと帰れない同級生を思い出してしまった。そんなことでは恋は成就できても、就活は成就できないのでは…。
誰にも知られずにこのまま死にたいおばあちゃん
加穂子に病気のことを知られてしまい、町内会のお芝居のためとついうそをついてしまったばあば。慌ただしく展開するこのドラマの中では、三田佳子演じるばあばがかなりの癒しになっている。加穂子に苦し紛れのうそをついているとき、「ばあば大女優になれるかしら」と本物の大女優が笑っていうセリフは、美しすぎて感動すら覚えた。加穂子に「ハグをして」とお願いする可愛いおばあちゃんでありながら、ハグしているときに「誰にも言わないでほしい」と念を押すなど策士な一面もあり、いつかこんなおばあちゃんになりたいと思わせてくれる。
今の時代、自宅で死ぬことはかなり困難だ。救急車に乗せられて病院に行ったら最後、手術と入院を繰り返して一度も家に帰れないこともある。病気という運命を受け入れて、安らかに眠りたいというばあばの夢は叶うのだろうか。
泉の本音炸裂! 仲良し仮面をつけていた親戚同士がついにバトル
加穂子が糸の誕生日会に来てくれるようにとがんばっている姿を見て、妹や義弟たちに連絡をし、みんなに集まるように説得をする泉。初の助けもあり、糸をなんとかばあばの家に連れてくることができ、いつも通り誕生日会に親戚一同が集まることができたのだ。
しかし、「いい人ぶって偽善者ばかり」と大人に生意気を言う糸に、ついに泉が「私も糸のこと好きじゃない」と爆弾発言。これにより糸の母・節が泉に食ってかかり、二人を泉の夫・正高がなだめようとした。しかし今度は、環の夫・衛と節の夫・厚司が正高のことを「エリートぶって上から目線」と言い出すまでに。
そして矛先はなぜか加穂子に向かってしまうことになった。
家族や親戚だけでなく人間関係には、今まで言わずにいたからこそ保たれていた均衡というものがある。表面上はうまくやっているように見えても、実はお互いがお互いのことを少しずつ良く思っていないなんてことはよくあること。そんな関係を見たくないと背ける加穂子、鼻で笑ってほら見たことかと思う糸、良くも悪くもいつも口火を切る泉、この親戚一同は今後どうなっていくのだろうか。
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