『コウノドリ』「母にならない」人生を選ぶ、その決断の裏にある苦悩と覚悟とは

目次

・女性にとって子宮全摘という決断とは
・子育てを理由にしたくないママたちの葛藤
・どんな女性にもある、それぞれの決意
・サクラ×四宮の名シーンにドキドキ!?
金曜ドラマ『コウノドリ』

© TBS


『コウノドリ』第7話が11月24日に放送された。いつも明るく妊婦やペルソチームを支えてきた助産師・小松(吉田羊)が迫られた子宮全摘という大きな決断。一方で、そんな小松がシングルマザーの産科医・倉崎(松本若菜)に差し伸べた手は、働くママの心に染みる最強のサポートだった。

母になる人生と、そうでない人生。どんな道を歩んでも、肩肘を張らずに自分を認め、ときには周囲の優しさに甘える勇気が必要なのかもしれない。

■女性にとって子宮全摘という決断とは


金曜ドラマ『コウノドリ』

© TBS


子宮腺筋症と卵巣チョコレート嚢胞を患った小松は、その症状からサクラ(綾野剛)に子宮全摘を勧められる。「私の子宮がなくなっても、世界が平和ならそれでいいか」と笑い飛ばす小松だが、迫られた大きな決断に心が揺らいでいた。

小松は、偶然出会ったペルソナ病院で働くメディカルソーシャルワーカー向井(江口のりこ)の子どもたちを眺めながら、「お母さんになる人生と、お母さんにならない人生。何が違うんだろうか?」と尋ねるも、当然、そこに答えはなかった。

そんななか、サクラは小松を食事に誘い、ピアノ演奏を披露する。小松が「私決めたよ。悔しいけど仕方ない。これが私の人生だ」と夜空を見上げると、サクラは「がんばっている小松さんも好きだけど、がんばっていない小松さんも好きです。
だから、ひとりで全部抱え込まないで。みんな、小松さんの味方ですから」と寄り添った。

手術直前、麻酔科医の手を握り「ちょっと待って」声を掛けた小松の頬を伝う一筋の涙。意を決して手術に挑んだ彼女が目を覚ますと、テーブルの上にはカップ焼きそばとジャムパン。サクラと四宮(星野源)の精一杯の優しさに、「食えるわけねぇだろ」と小松はいつもの笑顔を見せるのだった。

■子育てを理由にしたくないママたちの葛藤

金曜ドラマ『コウノドリ』

© TBS


一方、小松と対比する形で描かれたシングルマザーの倉崎。担当患者が夜間に急変しても、自分に連絡なくサクラが処置をしたことに不満を抱いていた。「サクラは気を遣ったんだよ」という四宮の言葉にも、寝ている子どもを連れてくることもできたし、母に預けることもできたと反論してしまう。


後日、倉崎の担当患者の出血が止まらないというトラブルが発生。倉崎には保育園に預けた娘の迎えがあることから、サクラと四宮は医師として仕事面でのサポートに手を挙げる。だが小松は「私が迎えに行こうか?」「ここがチームなら、こういう協力の仕方もありだよね?」」と、母親業のサポートを提案するのだった。

倉崎にとって、小松の言葉はどんなにありがたかったか。子どもがいることで特別扱いはされたくない。けれども、母として子どもの世話はしなくてはいけない。どちらも大切にしたいからこそ訪れる、自分だけではどうすることもできない葛藤。そしてその葛藤への周囲の理解は、働く母にとって何よりの支えとなるはずだ。


■どんな女性にもある、それぞれの決意

金曜ドラマ『コウノドリ』

© TBS


子宮摘出手術を終えた小松は、向井に私の中の大事なものがなくなっちゃったけど、支えてくれる仲間がいる。それってすげぇ心強いんだよ」とほほえんだ。一方倉崎もチームの大切さにあらためて気付き、四宮に「次からは、皆さんにお願いするようにします」と頭を下げた。

どんな道を歩んでも、必ず苦悩は存在する。だからこそ、ひとりで抱え込まずに仲間に頼ること、何より自分自身を「がんばっている」と認めてあげることも大切なのだと気付かせてくれた物語。ドラマ視聴後には、自然とついてしまったため息とともに、心がフッと軽くなった。

今回、小松が直面した子宮摘出とは、つまりは「子どもを産まない人生を歩む」ということ。自分が小松の立場になったらと考えると胸が苦しくなるが、それでも手術を決めた彼女の気持ちは、当事者でないとわからない。


病で子宮を失った小松、みずからシングルマザーとして生きることを選んだ倉崎のように、母になる人生、ならない人生、どんな人生を歩む女性にもそれぞれの決意がある。加えて、その覚悟の裏に秘めた思いは、本人にしかわからないものなのだ。

女性の生き方にはさまざまな事情が混在し、そこに正解、不正解はない。そんな重要ながらもおろそかにされがちな事実について、ドラマをつうじてあらためて示してくれた意義は大きい。そう感じた視聴者は、きっと少なくないだろう。

■サクラ×四宮の名シーンにドキドキ!?

小松の葛藤を主軸に、ペルソナチームの優しさが描かれた第7話。重みのあるストーリーの中にちりばめられたのは、サクラのお姫様抱っこや、サクラと四宮の主食交換といったドキドキ(!?)の名シーン。緊張感×ホッコリ感というあまりの振り幅の大きさに、最初から最後まで惹き付けられてしまった。


そんなすばらしきペルソナチームの関係性が拝めるのも、気付けば残り数話…。下屋(松岡茉優)、小松に続き、次回スポットが当たるのは四宮と白川(坂口健太郎)。産科医の父親が病に倒れ、急きょ地元に帰ることになった四宮、そして白川には、新生児科医としての今後を左右する重大な出来事が起こってしまう。

さらに予告には、前シリーズに登場した新生児科医・新井(山口紗弥加)の姿も。懸命に処置をした早産児の父親から浴びせられた「なんで助けたんだ」という言葉がトラウマとなってペルソナを離れてしまった彼女は、どうやって医師として復帰を果たしたのか。注目の『コウノドリ』第8話は、12月1日夜10時から放送。
TBSテレビ 金曜ドラマ『コウノドリ』
金曜よる10時から

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