©TBS
夫婦のすれ違いをリアルに描く
『あなたには帰る家がある』。4月20日に放送された第2話で、
中谷美紀演じる
真弓が
茄子田(ユースケ・サンタマリア)にぶちまけた「妻なんて、何にもいいことない」から始まる長ゼリフには、女性たちの本音がギュギュッと集約されていた。
気づけば毎日必死で、一人何役も担っている女性。にもかかわらず、夫に
“女”と思われなくなってしまう妻…そんな不条理に、立ち向かう術はあるのだろうか。
■夫は妻にいくつの役割を押し付けるのか!
第1話でも「パパは楽だよね」と、夫妻の役割分担への不満をもらしていた真弓だが、勤務時間外にスナックに呼び出され、男が惹かれる女性の順について「一盗二婢三妾四妓五妻(いっとう にひ さんしょう しぎ ごさい)」、つまり「妻は5番目」と言いたい放題の顧客・茄子田を相手に、とうとうブチ切れてしまった。
「妻なんて、何にもいいことない。ふざけるな! 毎日毎日、家事と仕事に駆けずり回って24時間休みなしでお母さんやって、それでも疲れた顔するな? 手を抜くな? 料理をやれ? それでいて旦那に浮気されないように、若い女に負けないようにキレイでいろ? 笑顔を絶やさず女でいろ? そんなことできるか、できるわけないだろ!
女に一体いくつの役割押しつけるんだ?できるもんなら、そっちがやってみろっ!」。
共働きであれば、夫婦で立場は同じはずなのに、なぜこんなにも女性の役割が多いのか。
それは、「結婚したら、妻が食事を作って夫の帰りを待つもの」といった幻想を多くの人が抱いているからかもしれない。結婚生活は、やってみないとわからないことばかり。それなのに、凝り固まった概念が邪魔をして、あらためて家事分担のルールを作ったとしても「夫が手伝う」といったパワーバランスに陥りがちなのだろう。
実際、子どもの保育参観や授業参観に来る父親はいても、懇談会に出席している父親はほとんどみかけない。小児科に、父親が一人で子どもを連れてきている姿もあまり目にしない。たとえ共働きでも、
妻は子ども優先、夫は仕事優先。話し合ったわけではないのに、そんな暗黙のルールが、多くの家庭に根付いてしまっているように思えてならない。
「あんたら男が仕事もして、家事もやって、それで子どもの面倒も都合のいいときだけじゃなくて全部みて、他の女によそ見せず妻に優しくしろ!」。
真弓の魂の叫びには、ワーママの本音が詰まっていた。夫と妻の役割を足して2で割ることができれば簡単だが、そうはいかない。ならば夫に、妻の役割から少しでも引き算できるよう協力してほしい…そう願う女性は、間違いなくおおぜいいるはずだ。
■「夫婦=子育てユニット」では夫は満足しない?
同年代でありながら、“現役”の由紀(笛木優子)が、夫目線で真弓に語った「若い女の子にはモテるのに、自分の妻はガミガミ、ノーメイクにスエットかパジャマ。どこから見ても立派なおばさん」という言葉にもグサッときた。ついでに、中谷美紀がおばさんなら、私は一体どうすりゃいいんだと嘆きたくなってしまう。
だが、「もはや男と女じゃなくて、子育てのためのユニットって感じか」というセリフには、言い得て妙と納得してしまった。当然好き合って結婚するのだが、子どもが生まれれば呼び名も「パパ・ママ」になり、お出かけするのも子どもが楽しめることが前提。
子どもが小さなうちはデートなんて行けないし、何もかもが子ども中心の生活に一変する。まさに
“子育てのためのユニット”の誕生だ。
けれどもそれは、けっして悪いことではない。子どもの成長をともに喜び、ともに悩むことができる相手は、かけがえのないパートナー。たとえ“男女の関係”でなくても、絶対的な“信頼関係”で結ばれていれば、なんら問題ないのである。
そう高らかに宣言したいのだが、どうやら
“男”はそれでは満足できないらしい…というのが、このドラマの恐ろしさ。やはり妻自身、“女”でいる努力も必要ということだろうか。いや、それなら妻が“女”でいられるよう、夫も尽力すべきではないか…。
この堂々巡り、妻が一人でもんもんとしているうちは、答えが出ることはなさそうだ。
■夫が浮気したかも!? 気になるチェックリスト
結婚記念日以来、夫・
秀明(玉木宏)の態度がおかしいことを気にかけていた真弓だが、由紀に浮気を疑われたことから、スマホで“夫の浮気”について検索する。そこで見つけた『夫の浮気10のチェックリスト』に書かれていたのは、「不自然に優しくなった」「身だしなみのケアをするようになった」「口数が減った もしくは増えた もしくは上の空」など、秀明の行動に合致することばかり。
一方、真弓との久々のデートを
綾子(木村多江)からの呼び出しですっぽかしてしまった秀明は、娘の麗奈(桜田ひより)の言葉を機に心を入れ替える。行けないと言っていた麗奈の陸上大会にも仕事を抜け出して応援に駆けつけ、「これからちゃんとするわ、家のこと」と真弓に告げて一件落着と思いきや、そううまくはいかない。
真弓が見つけたのは、クレジットカード明細に記されたホテルの利用履歴。秀明のツメの甘さには笑えるが、ホテルの明細となれば女の勘もクソもない。「一度でも浮気をしたら離婚する」「浮気されても絶対に別れない」など考え方は人それぞれだが、はたして真弓はどんな選択をするのだろうか。
それにしても、ホテル代に4万8000円支払っているのに、妻のバッグ3万5000円を「高い」とぼやく夫…その理不尽さに、当人は気づいているのか、いないのか。『あなたには帰る家がある』第3話は、4月27日夜10時から放送。
ホラー映画『悪鬼のウイルス』主演・村重杏奈、“大人が鬼になる”謎の村で起きた出来事とは?